風の音楽メモ 2004

  

小田和正のヤヌスの顔 


2004.3.4

歌声というのは不思議なもので、
話す声と歌うときの声が
まったく別人のように聞こえる人がいる。
 
毎朝出勤のとき車のなかで聞いている
メルセデスベンツ・スーパーコラムという東京FMの番組の
今週のゲストは小田和正で、
その話す声からはあの歌の声はちょっとイメージしがたい。
しかも、小田和正の顔とかもよくわからないのだけれど、
その歌声からはちょっとイメージできないほどの歳のようである。
 
そういえば、小田和正やかつてのオフコースとかの音楽を
ほとんどちゃんと聞いたことがないことに気づいた。
抵抗感のようなものを感じていたようである。
先日からかつて録音したカセットテープを
思いつくままに懐かしく聞き直しているのだが、
オフコースも小田和正もまったくない。
ハイファイセットとかはあるにもかかわらず。
(「下町ルネッサンス」とかいう名曲も久しぶりに聞いた)
そうそう、加藤登喜子の「MONSOON」というアルバムもあって
たぶんこれは1997年頃のアルバムなんだろうけど
これもけっこう入れ込んで聞き直してしまった。
 
しかしほんとうにいろんなのを節操なく聞いてきたものだなあと
自分で自分に呆れているのだけれど、
かつてはちょっとばかり抵抗があったのかもしれない
こういうオフコースのような曲をこれも何かの縁だと
小田和正の『自己ベスト』というアルバムを聞いているのだけれど、
聞きながら思ったのは、歴史はけっこう新しくて数十年しかないけれど、
こうした今はJーPOPとかいわれるようになったものというのは
ある意味では、かつての和歌のような役割を
裾野の広い大衆レベルで担っているのではないかということだった。
 
JーPOPの『万葉集』や『古今和歌集』、
『新古今和歌集』とかいうようなものを編纂するとしたら
どうなんだろうという気もしている。
 
小田和正の曲の歌詞やメロディラインとかを聞いていると
それはほとんどいくつかの元型的な要素のようなものの
編集作業のようなものでできていることに気づく。
ほとんどワンパターンなのだけれど、
そのなかでさまざまなスタイリッシュな技法が凝らされている。
ひょっとしたら、こういうのはある意味では
新古今的なのかもしれないなあとか思ったりもする。
 
小田和正の声をきいていて
そのなかで少しだけ気に入ったのは
あの甘ったるい声のなかで
随所でwoh とかwooとか歌っているところなどに
けっこう烈しい胆力が迸っているように聞こえるところだったりする。
 
かなりやさしげな曲と声であるにもかかわらず
そして注意深く聞いてみるとかなり技巧的であるにもかかわらず
ときおりみせる「ますらおぶり」のようなところ。
ラジオで聞く小田和正の声はかなりの体育会的オヤジの声で
その声はなかなかに味があるのだけれど
そういうところがあの歌声のなかに見え隠れするようなところ。
 
そういう聞き方をしてみるのも面白いかなとか思ったりしている。
若いときにこういう歌を歌うのを聞くよりも
今くらいの歳になってこういう感じで歌うのも
まあ、それなりにスタイリッシュでいいのかもしれないし。
 
そう思って照れ笑いしながら素直な気持ちになって聞いてみると
この『自己ベスト』というアルバムの最後の曲の
「woh woh」とか、けっこう気に入ったりもした。
yuccaと出会った頃のことなどを思い出したりしながら…(*^^*)。
 


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