風の音楽メモ 2004

アファナシェフの弾く
ベートーヴェンのピアノコンチェルト 


2004.7.26

■ベートーヴェン、ピアノコンチェルト
 第1番〜第5番
 ヴァレリー・アファナシェフ(ピアノ)
 ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
 指揮:油ベール・スダーン
 OC311/第3番&第5番
 OC344/第1番・第2番&第4番
 
ピアノコンチェルトといえば、モーツァルトと相場が決まっているというか、
ぼくにとっても聞きはじめたときにははまってしまっているし
レコード、CD、テープにしてもいろんな演奏のものが手元にある。
クララ・ハスキルのものももちろんあるし、
比較的最近のものではツァハリアスの演奏のものなどは
主なものをほとんど収めた10枚組だったりして
これは数年前にそのモーツァルトのピアノソナタ全集とともに
よく聞いていたことを覚えている。
 
ベートーヴェンのピアノコンチェルトは
以前バックハウスのものくらいをいくつか聞いたことがあるくらいだった。
もちろんその演奏もなかなかに素晴らしい。
しかしここにきてずっと続いているベートーヴェン・エポック。
少し前にきいた最後の3つのピアノソナタがすばらしかったのを受けて
やはりピアノコンチェルトもということで、
最初に見つけたのが第3番と第5番を収めた2枚組。
これがすばらしく、第1番・第2番・第4番も
ぜひ聞きたいと思っていたところ、輸入盤で発売されらところなのを見つけた。
 
クラシック・ファンとかには、
何を今更という感じなのだろうけれど、
ぼくのようなとくにクラシックファンとかでもない耳をもった者にも
このベートーヴェン、ピアノコンチェルト、格別である。
とくに第4番のなんとすばらしいこと。
きいてみると、yuccaもピアノコンチェルトでは
第4番がいちばん好きだという。
なんだかうれしい気持ちになる。
 
ぼくは例の如く、クラシックの常識がないので、
テンポのことも、とくに比較してきいたわけではないが、
アファナシェフの演奏はやはりゆっくりとしているらしい。
たしかに、ほかの演奏者のCDの演奏時間と比べるとかなり長い。
第4番にしても42分にも渡っている。
2枚組の1枚目の第1番・第2番で77分となっている。
 
早いのがいいとか、遅いのがいいとかではなくて、
要は聞いてていいと思うのがいいわけで
このアファナシェフはとにかくいつまでも聞いていたくなる。
必然的なテンポなのだろう。
しかもこの第4番、鬱気味の朝に聞くとどこか元気がでてくる。
似たようなものかもしれないと先日モーツァルトのコンチェルトを
鬱気味の朝にいくつか聞いてみてもどうもだめだったけれど、
ベートーヴェンのピアノコンチェルトのほうが
いまのぼくには似合っているようだ。
もちろんアファナシェフのそれが。
 
・・・とかなり馬鹿なことを書いているけれど、
猛暑の感のある最近の空気のなかで
これだけじっくりとぼくに染み入ってくる音楽は
ほんとうに魔術的な感じさえ受けてしまう。
 
音楽をきくということ。
その喜びのひとつは、
耳をすませることで
ぼくがその音楽になれるということだ。
アファナシェフの弾くピアノの響きに
ぼくがなることができるということだ。
そしてともに踊りともに胸を躍らせることだ。
ベートーヴェン=アファナシェフになれるということだ。
 
そういう喜びを持てることはとても少ないけれど、
こうしてそれができるときの喜びは何ものにも代えがたい。
永遠が音楽のかたちをしてぼくを誘うひととき。
 
 


■「風の音楽室」メニューに戻る
■「風の音楽室メモ2004」に戻る
■神秘学遊戯団ホームページに戻る