風の音楽室
ヴァイスのリュート曲
2001.4.14
リュートという楽器はとても魅力的で、
最近ではつのだたかしの演奏などでもおなじみになってきた感もある。
リュートといえば、早い話、ギターの古いヴァージョンのようなもので、
その静かに、しみいってくるような情感が魅力で、
17世紀頃にはかなりポピュラーだったものの、その後、いわば衰退に向かい、
18世紀になるとかつての栄光はどこへやら、ということになったらしい。
かつてのリュート曲にはどんなものがあったのかということに
少しばかり興味がでて調べていたら、バッハとほぼ同時代の
シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1686-1750)というリュート奏者で、
リュート時代の最後の華を咲かせたということを知った。
ちなみに、J.S.バッハは、1685-1750なので、
ヴァイスとほとんど同時代人。
とはいうものの、音楽事典を調べても、
ヴァイスのことはほんの少ししかでていないようで、よくわからない。
ふと思い立って、マイナーな作曲家の作品も数多くとりあげられている
ナクソスのシリーズのカタログをみていたら、
以下の4枚のCDがでているのがわかった。
(ナクソスのシリーズはこんなときなどとても重宝する。
演奏もわりといいし、安価でもあるし。)
■リュート・ソナタ集
ソナタ(大パルティータ)ハ長調ドレスデン第11番
ソナタイ長調ドレスデン第17番
パルティータニ短調モスクワ草稿No.282/8
●フランクリン・レイ(lute)
8.880470
■リュートのためのソナタ集第1集
ソナタ第36番ニ短調
同第49番変ロ長調
同第42番イ短調
●ロバート・バート(lute)
8.553773
■リュートのためのソナタ集第2集
第5番ト長調
第25番ト短調
第50番変ロ長調
●ロバート・バート(バロックlute)
8.553998
■リュートのためのソナタ集第3集
ソナタ第2番ニ長調
同第27番ハ短調
同第35番ニ短調
●ロバート・バート(lute)
8.554350
聴くことができたのは、まだ上記のうち第1集と第3集だけなのだが、
最初に聴いたときからたちまちその美しさに魅入られてしまった。
ヴァイスはなによりも当時の代表的なリュート奏者であり、
作品もリュート曲以外はそんなにぱっとしないらしいのだけれど、
これらのリュート曲はもっと聴かれていいのではないかと思う。
静かに聴いていると、その音色が胸にじわじわとしみいってきて、
その胸そのものがリュートになって共振しはじめる。
J.S.バッハにもリュート組曲などがあって、
手元にもバロック・リュートを演奏した、
かのナルシソ・イエペスのCDがあったりもするのだけれど、
個人的な趣味をいえば、リュート曲はヴァイスのものがずっといい。
おそらく、ヴァイスはリュートを知り尽くしたなかで、
作品をつくっていたのだろうと思う。
といっているうちに、ARTE NOVA CLASSICSのシリーズで、
ヴァイスの作品全集が出始めているらしいことを知った。
これは、ギターによる演奏なのだけれど、これは見逃せない。
現在、どこまででているのかは知らないのだけれど、
とりあえず第1巻は見つけることができた。
しかも2枚組で千円とちょっと。
演奏もなかなかに素晴らしい。
■Silvius Leopold Weiss:Complete Works for Lute Vol.1
Kurt Schneeweiss,guitar
ARTE NOVA CLASSICS 74321 72111 2
収められているのは、Sonata No.21 in G minorと
Sonata No.25 in G minor,Allegro in D major(Duet),
Menuet in A minor(Trio),Fanrasia in E minor.
奏者の名前が、ヴァイスのはいった、シュネーヴァイスというのも面白い。
(ちなみに、シュネーヴァイスというのは、雪ー白。白雪さんですね(^^))
ギターといえば、かつて中学生の頃、ギターを買って、
ナルシソ・イエペスのような演奏にあこがれて練習していた頃があった。
「禁じられた遊び」を弾けるようになりたいという、よくある願望。
なんとか、いちおうヘタクソながら弾けるようになったものの、
その後、興味を失ってしまうことになり、
どちらかといえばロックのギターのほうが好きになってしまうのだけれど、
その頃、このヴァイスの音楽に出会っていればどうだっただろうと思う。
このヴァイスの音楽は、広がりがあるとはいえないにしても、
少なくともぼくのなかの琴線をかぎりなく震わせるに足るように思う。
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