坂本龍一完全ベスト:UF


2002.10.22

■坂本龍一完全ベスト:UF(Ultimate Films)
 WPC6-10243
 
「全部入ってりゃいんでしょ!(坂本龍一)」という
キャッチコピーで明日の10/23に発売になるベスト・ワーク集のひとつ、映画音楽集。
その他に2枚組のUS(Ultimate Solo)とCM/TVとがあるが、
そのふたつはまあいいや、ということで(^^;)、やはりこの映画音楽集を聴こうと思った。
 
最初は思ったとおり「戦場のメリークリスマス」。
それから、「子猫物語」「オネアミスの翼」、「ラストエンペラー」、
「侍女の物語」、「シェルタリング・スカイ」、「ハイヒール」、
「嵐が丘」、「リトル・ブッダ」、「スネーク・アイズ」、
「愛の悪魔」、「鉄道員」、「御法度」、「ワイルド・サイド」、
「アレクセイと泉」が収められている。
そういえば、ほどんどそれぞれの映画も見てないし、
音楽もいくつかを除けば聴いたことのないものばかり。
収められているのは、それぞれの映画から代表的な曲だけなので、
それだけで映画をイメージするというのもなんだし、
音楽のほうから映画をイメージするというのも変だけど、
そういうのもけっこうありなのかもしれない。
 
そういえば、来月から刊行されはじめる武満徹の音楽全集も、
第3集と第4集が映画音楽になっていて、
それぞれCD10枚が収められることになっているらしい。
あまり聴いたことのない曲が多いであろうそれもぜひ聴いてみたいし、
その曲のほうから映画をイメージしてみる楽しみもありそうだ。
 
さて、こうして坂本龍一の映画音楽のいろいろを聴きながら思うこと。
意外にというか、思ったとおりというか、けっこう素直な気持ちで聴ける。
やはり、坂本龍一というのは、たぶん本来けっこうエモーショナルな人だし、
映画音楽ということだと、それをわりとダバーっとだす必要がありそうだし、
そこらへんで映像ともけっこう相性がいいのだろうと思う。
 
坂本龍一のアルバムにはめずらしく、
それぞれの曲に自身の解説が書かれていて、
そのなかに、ベルトリッチ監督とのやりとりなどが
紹介されていたりして、わりと面白い。
ラストエンペラーのときに、ベルトリッチ監督から
「もっとエモーショナルに!もっと、もっと」と何度もいわれ、
「自分の「エモーショナルな部分」が開発された」など。
 
ついでに、「リトル・ブッダ」の「ACCAPTANCE-END CREDITS」のところから。
 
        「これ以上悲しい音楽はないという曲を書け」というベルトリッチの指示で
        2回目に書いた曲を聞かせた時に、「これでは悲しすぎる、ここには希望が
        ない」というベルトリッチに、「希望なんて話は聞いていないぞ」とブチキレ
        ました(苦笑)。
 
ともあれ、坂本龍一って、やっぱりいろいろたくさん仕事をしてるなあという感じ。
もっとも、手がけている音楽のジャンルの制約もあるのだろうけれど、
あらためて感じたのは、音楽表現にある種の枠組のようなものがあるということ。
器用すぎるくらいとっても器用だし、感情・感覚はすごく刺激されるんだけど、
そこから先がいきなりどこにもいかない感じを次第に受けるようになる。
たとえば、デヴィッド・シルヴィアンのインストゥルメンタルなんかのほうが、
ずっとぼくのなかの深いところに届いてくれるところがあったりする。
 
 


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