バッハ、ライプツィヒ時代のカンタータ 


2002.12.23

BCJ(バッハ・コレギウム・ジャパン)の
J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズ、Vol.20が発売になりました。
 
バッハの教会カンタータには、アルンシュタット時代、ミュールハウゼン時代、
ワイマール時代、ケーテン時代、そしてライプツィヒ時代の作品があるのですが、
200ある教会カンタータのうち約四分の三がライプツィヒ時代のもの。
 
BCJのJ.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズも
Vol.8からはライプツィヒ時代の作品になっています。
今回のVol.20は、そのライプチッヒ時代の1724年に作られた作品の4枚目。
今回はとくにテノールのゲルト・テュルクが聴かせます。
しかも、アルトは波多野睦美。
これがまたいいです。
カウンターテナーとはまた違った味わいがあります。
とくに、「人々汝らを除名すべし」 BWV44 のアリアが素晴らしい。
 
■鈴木雅明/BCJ
 J.S.バッハ/教会カンタータ全曲シリーズVol.20
 バッハ/教会カンタータ 〜ライプチッヒ1724-4〜
 BIS CD-1271
 
 「待ち焦がれし喜びの光」BWV184
 「高く挙げられし血肉よ」BWV173
 「人もしわれを愛せば、わが言を守らん」BWV59 
 「人々汝らを除名すべし」 BWV44        
 
(S)野々下由香里 (A)波多野睦美 (T)ゲルト・テュルク (B)ペーター・コーイ
 
ところで、バッハのカンタータについて、
『バッハ=カンタータの世界』(東京書籍)全3巻が刊行されています。
(クリストフ・ヴォルフ、トン・コープマン編著 磯山雅監訳)
第1巻 教会カンタータ アルンシュタット〜ケーテン時代
第2巻 教会カンタータ 世俗カンタータ
第3巻 教会カンタータ ライプツィヒ時代
 
この第3巻『教会カンタータ ライプツィヒ時代』が刊行されると同時に
今回のVol.20が発売されるタイミングになったので、
あらためて、ライプツィヒ時代のカンタータについて、
その素晴らしさを実感させられているところです。
しかもこれだけの曲を毎週のように作曲し演奏していたわけです。
(シュタイナーの毎日のあれだけの講演もすごいですけど)
それがバッハ自身こう述べているようにすごく複雑で演奏も難しいとくる。
「第一合唱隊の担当する教会楽曲はほとんど私の作曲であり、
比類なくむずかしく複雑である」。
 
たしかに、バッハの教会カンタータをBCJの演奏で
時代にそって聴いていくと、それが次第に複雑になっていくのがわかります。
一曲つくるごとにいろんな試みをそこに惜しげなく投入していったのでしょう。
演奏するほうも大変だったようで、
「バッハは自ら第一合唱隊を指揮し、
信じられないほど多くのことを歌手たちに要求した」(P393)ようです。
「比類なくむずかしく複雑」であるのに加えて、
「信じられないほど多くのこと」を要求していたバッハ。
(「比類なくむずかしく複雑」で、
「信じられないほど多くのこと」を要求していた、のはシュタイナーもそうですよね。)
聴いているだけでそれがわかるのですけど、
それだけに聴き応えがあって決して陳腐にならないんですよね。
 
 


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