note10:種子と像の対極性・リズミカルな交替

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 平面像への拡張と点への収縮とのこのリズミカルな入れ替わりのなかで、私たちはあ
りとあらゆる変容(メタモルフォーゼ)形態をつくり出します。一種の幾何学的高昇と
も言い得るこのようなやり方をとおして、私たちは与えられた形態をメタモルフォーゼ
させるばかりでなく、新しい形態をつくり出すこともできます。このリズムの内には、
空間的創造への可能性が潜んでいます。私たちは空間のこの原理念のなかに、宇宙進化
の内にあるあるひとつの圧倒的な対極性を体験します。“種子と像”、それがこの対極性
の名称です。
(P.27-28)
 人間のあり方もこのような意味で分節されています。この対極性は、過去と未来、宇
宙の死と復活に関連しています。人間は自身のあり方の内にこの両極を潜ませています。
私たちは私たちの頭部の内にかつての宇宙像を埋め込んでいて、その最後の残像を思考
の内で見ているのです。私たちは私たちの意志の内、四肢が内的に形成するものの内で、
宇宙の種子を未来へ向けて運んでいます。過去からつくり出された私たちのあり方の内
には、宇宙の原像が潜んでいます。私たちはいまもなお、宇宙の原像の最後の影を、天
球に拡がる星座の内に見ています。空間の無限周縁に発する宇宙の原像が、人間存在の
内、人間の自我の内に死ぬ。これが、私たち人間の頭部形成の秘密です。しかし宇宙の
原像は、私たちの意志の領域に蘇ります。
(P.28)

<note10>
◎「拡張(周縁への拡がり)」と「収縮(点への収斂)」がリズミカルに入れ替わることで、
あらゆる「変容(メタモルフォーゼ)形態」がつくりだされる。
◎このリズム、変容によって、空間的創造が可能となる。
この「拡張と収縮」の対極性は宇宙進化における「種子と像」である。
◎「種子と像」というこの対極性は、過去と未来、宇宙の死と復活に関連している。
◎人間の内にもこの対極性がある。
◎私たち人間の頭部は、思考としての過去の像から形成される。
つまり、天球に拡がる星座という形として見られる「宇宙の原像の最後の影」、
「空間の無限周縁に発する宇宙の原像」が、人間の自我の内に死ぬことで形成される。
私たちの思考は、過去からのもので、頭部は過去の「像」なのである。
◎そして、私たち人間の四肢は、「意志」として「宇宙の種子」を未来へと運び、
「宇宙の原像」はそうした意志の領域で甦る。
◎その意味で、「種子と像」の対極、リズミカルな交代は、
「過去ー思考ー頭部」と「未来ー意志ー思考」、「宇宙の種子」と「宇宙の原像」において見ることができる。
◎私たち人間においても、「影を投げかける過去」と「現実の種子を含み持つ未来」が出合い、
それがリズミカルに入れ替わりながら展開していく。
◎シュタイナーによれば、地上の植物たちは、春と夏には宇宙に向けて目を開き、
秋と冬には目を閉じるというように、宇宙が地球に向けた一種の知覚器官だという。
そのように、太陽の影響下にある植物は外に向かって生長し、
地球の影響下にある植物は点の内への収縮して種子になるように、
地球と太陽との相互作用は植生に現れ、外へ拡張するものと中心へ収縮するものということから、
「拡張(周縁への拡がり)」と「収縮(点への収斂)」を実際に観察することができる。
◎また、シュタイナーは人間を「頭部」「胸部」「四肢」の三分節でとらえ、
それぞれが思考、感情、意志に関わると見ているが、その考え方を社会にも適用している。
この三分節の考え方において、二つの対極を見ていると考えていくとイメージしやすくなるかもしれない。
医学においても、三分節を踏まえながら、上部と下部との対極が重要になる。