note12:物質空間の反対の性質を持つ空間形態としての原空間
(ユークリッド幾何学が扱う一面的に物質的な空間との関係)

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 ルドルフ・シュタイナーは物質的な力に対して反対方向に作用する力について語って
いるだけではありません。物質空間の反対の性質を持つ空間形態についても語っていま
す。(…)
 最初に、物質的なものとエーテル的なものとが均衡を保ちつつ自在に変容する近代幾
何学の空間(つまり、“拡張と収縮”、“種子と像”、点と平面との自在な対極性のなかにそ
の原理念が現れている空間)と、ユークリッド幾何学が扱う地上の硬い空間とが、どの
ような関係にあるのかを明らかにしておかなければなりません。(…)
 ユークリッド幾何学が扱う一面的に物質的な空間が“原空間”(…)とどのような関係に
あるかを以下に述べていきます。
(P.32)

<note12>

◎、地上的ー物質的な空間と対極にある「反空間」としての太陽的ーエーテル的な空間は、
「作用する力」についてだけではなく、物質空間の反対の性質を持つ空間形態としても理解する必要がある。
◎その理解のために、非ユークリッド幾何学及びユークリッド幾何学における
空間の関係を明らかにしておく必要がある。
◎ここでは、、非ユークリッド幾何学を含む「近代幾何学」が、
「物質的なものとエーテル的なものとが均衡を保ちつつ自在に変容する」空間として位置づけられている。
◎その「均衡」というのは、「“拡張と収縮”、“種子と像”、点と平面との自在な対極性」であり、そ
の対極性のなかに「その原理念が現れている空間」がここでは「原空間」と表現されている。
◎次回以降で、物質的な空間を扱っているユークリッド幾何学とその「原空間」との関係性について展開される。
◎ここで、「ユークリッド幾何学」と「非ユークリッド幾何学」について簡単に補足説明しておくことにしたい。
◎「ユークリッド幾何学」は、古代エジプトのギリシア系哲学者エウクレイデスの著書『原論』に由来する幾何学体系。
その体系は、いわば物質的現実世界において理解できる空間の理解に基づいていて、
直線も平面もどこまでも延長可能であり、平行線はどこまでも平行に延長できるとされている。
◎「ユークリッド幾何学」はヨーロッパにおいては、永く「唯一の幾何学」だったが、
『原論』の 第五公準 (平行線公準)に対する疑問から、19世紀に「非ユークリッド幾何学」を生むことになった。
◎「ユークリッド幾何学」と「非ユークリッド幾何学」は、
それぞれが独立した別個の体系における幾何学であり、
「ユークリッド幾何学」が、平面や歪みのない空間の図形の性質を探求するのに対して(「平面上の幾何学」)、
「非ユークリッド幾何学」は、曲面や歪んだ空間の図形を探求する(「曲面上の幾何学」)。
「非ユークリッド幾何学」を成立させた重要な数学者としては、
ニコライ・イワノビッチ・ロバチェフスキー、ボーヤイ・ヤーノシュ、ベルンハルト・リーマンなどが挙げられる。