note16:
地球上の自然のなかでも、また人間の肉体を理解する上でも、
反空間の作用に関する空間理念、空間感情を育んでいくこと

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 私たちは地球上の自然のなかでも、この太陽的な力の作用、反空間の作用と関わって
います。私たち生物の生命を維持しているエーテル体を正しく認識するためには、この
ような空間理念、とりわけそれに相応する空間感情を育んでいくことが求められます。
それというのも私たちは、まさにこのような空間理念、このような空間感情が求められ
るきわめて多くの自然事象とかかわっているからです。
(P.36)
 また人間の肉体を理解する上でも、空間と反空間とのこの対極性はとても重要な要件
となります。なぜなら代謝ー四肢系人間から頭部の神経ー感覚系人間へと反転するメタ
モルフォーゼも、この対極性が理解されてこそ具体的にイメージし得るものになるから
です。ルドルフ・シュタイナーはまさにこうした関連のなかにある問題に関しても、こ
のような質的数学理念が必要であると語っています。
(P.37)

<note16>
◎note15では、死後私たちは、それまでの外的な物質世界における体験とは対極的な、
内的な「中心的な外的世界」である「太陽の領域へ、星々の領域へ」と向かい、
「周縁的なもののなかに生きる」とあったが、これはもちろん死後における体験であるというだけではない。
◎私たちは、この地上の自然のなかでも、「太陽的な力の作用、反空間の作用」と深く関わっている。
◎私たちの生命体であるエーテル体を正しく認識するためにも、
そうした空間理念、空間感情を育てていかなければらならない。
◎ちなみに、私たち人間はこの地上において、物質的な肉体だけではなく、
生命体であるエーテル体、感情・感覚に関わるアストラル体、そして自我によって構成されている。
そしてユークリッド幾何学においては、主にその物質的な次元にのみ関わり、
非ユークリッド幾何学における空間は主にエーテル体に関わっている。
◎人間の物質的側面である肉体を理解する際にも、
空間と反空間、物質的空間とエーテル空間という対極性は非常に重要である。
◎この対極性を理解することで、
「代謝ー四肢系人間から「頭部の神経ー感覚系人間へと反転するメタモルフォーゼ」も
具体的にイメージできるようになる。
これについては、note10にあった、「「拡張(周縁への拡がり)」と「収縮(点への収斂)」が
リズミカルに入れ替わることで、あらゆる「変容(メタモルフォーゼ)形態」がつくりだされる」
ということを具体的に理解していく必要がある。
◎ちなみに、note10でもコメントしておいたように、
シュタイナーは人間を「頭部」「胸部」「四肢」の三分節でとらえ、それぞれが思考、感情、意志に関わると見ている。
◎空間と反空間、物質的空間とエーテル空間という対極性を具体的に認識していくためにも、
いわゆる数量的な数学のあり方ではなく、「質的数学理念」が必要である。
◎「質的数学理念」ということで思い起こされるのは、数学者の岡潔である。
岡潔はたとえば、『春宵十話』で「数学とはどういうものかというと、
自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術の一つであって、
知性の文字板に、欧米人が数学と呼んでいる形式に表現するものである。」と述べているが、
ここでいう「自らの情緒を外に表現することによって作り出す学問芸術」というあり方と
「質的数学理念」というのはとても近しいのではないだろうか。