note18:
地上的物質的な空間と天上的な空間は互いに入り組みながら
内的に相互作用を行っている
(過去と未来/地上的なものと天上的なもの/
中心的なものと周縁的なもの/点と平面)

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 ここからは、上述の二つの空間は互いに入り組んでいるということについて述べてい
きます。たとえばゲーテの“光と闇”の対極性を取り上げるなら、この二つの極はただ単
に外的に混ざり合うのではありません。光は闇のなかへ、闇は光のなかへ内的に働きか
けるからこそ色彩は生まれます。空間の対極性もこのように感じ取らなければなりませ
ん。
(P.38)
 物質的に、より点的に体験される空間の特性は、ひとつの宇宙周縁、ひとつの宇宙平
面から、つまりまさに宇宙的なもの、エーテル的なものから、その形態を受け取ってい
るということです。これはまさしく宇宙的な秘密です。深みのなか、鉱物のなか、結晶
のなかに存在するものの源は、光のなか、宇宙的な拡がりのなかにあるのです。アント
ロポゾフィーのことばを用いて述べるなら、まさに“深み”に存在するもの、鉱物の形成
諸力体Bilderkraefteleibは、宇宙の拡がりのなかにあるのです。それがそうであることを
私たちの純粋思考は、ユークリッドの結晶空間(実際、ユークリッド空間は本質的に結
晶なのです)における無限遠平面の理念に接して体験します。しかし天上的な力、つま
り第一にエーテル的周縁的な力には、まさにその反対が当てはまります。エーテルの力
はひとつの物質へ、ひとつの種子点へ向かいます。種子点、それは大宇宙的な意味にお
いては私たちの天体でもある地球自体でもあり、天上の力を受けとめ生長していく無数
の種子の一粒でもあるのです。
(P.38)
 エーテル的なものは天球周縁から、ひとつの物質的な種子点へ、ひとつの相対的な中
心点へ向かって働きかけています。物質的なものが存在し得るのは天上のエーテル的天
球からその形態を受け取っているからですし、あるいはまた太古のむかしに受け取って
いたらからです。後者は私たちを過去へと向かわせます。それは、生命を担うエーテル
体が“無限遠”へ退いたことによって現象した物質的な存在です。一方、前者の事象は未来
とかかわります。エーテルの力は種子点を包み込み、育みます。なぜなら種子点は、世
界の未来をその内に隠し持っているからです。
(P.38)

<note18>
◎地上的物質的な空間と天上的な空間は、それぞれが独立しているのではなく互いに入り組んでいる。
◎とはいえ、ただ混ざり合っているというのではなく、光と闇のように、
天上的な空間は物質的な空間のなかへ、物質的な空間は天上的な空間のなかへ、
内的に働きかけるようなかたちでの「対極性」として感じ取らなければならない。
◎物質的なものは、天上のエーテル的天球からその形態を受け取っているがゆえに存在することができる。
◎つまり、点として体験される物質的な空間は、
宇宙周縁、宇宙平面として体験される宇宙的エーテル的な空間からその形態を受け取っている。
◎アントロポゾフィー的にいう「深み」に存在する
「鉱物の形成諸力体(「鉱物のなか、結晶のなかに存在するものの源」)」は、宇宙の拡がりのなかにあるが、
そのことは、ユークリッド幾何学(ユークリッド空間は、本質的に結晶である)における無限遠平面の理念において
、純粋思考的に体験することができる。
◎その反対に、エーテル的周縁的な力は、「ひとつの物質的な種子点へ」向かう。
その「種子点」というのは、大宇宙的にいえば「地球自体」でもあり、
「天上の力を受けとめ生長していく無数の種子の一粒」でもある。
◎太古の昔にエーテル的な働きを受け取っていた物質的なものは、
生命を担うエーテル体が「無限遠」へ退くことで現象している。そして、私たちを過去へと向かわせる。
◎エーテル的なものの働きかけを受け取っているものは、種子点を包み込み育て、未来とかかわる。
◎地上的物質的な空間と天上的エーテル的な空間が、相互に内的に働きかける「対極」であるということは、
現在、地上的-物質的に現象しているものは、過去からの射影であるととともに、
エーテル的な作用を受けることで未来への萌芽ともなるということだろう。
◎対極にある物質空間とエーテル空間が、過去と未来、地上的なものと天上的なもの、
中心的なものと周縁的なもの、点と平面において相互作用を行いながら均衡を保っている。
その空間が「原空間」であるということができる。