note23:
・球は中心点に直角三角形をつくり出すだけではなく、
 天球周縁にも直角三角形をつくり出す
・プロセスとしての球形形成運動
・球形形成原理は、虚数に関わり、数エーテル(化学エーテル)として現象界に現れる

<ジョージ・アダムス 『エーテル空間』からの引用>

 空間の無限遠点は球面との関係において、球の中心点を通る平面をもたらします。こ
の平面は、無限遠点がどの方向にあろうとも、無限遠点へ向かう半径に対してつねに直
角を成します。そしてこれは球の場合にのみ生じます。このことを最後まで考えていけ
ば、球の中心点で互いの直角を成す“三つ組”の半径が得られます。すなわち三つの直線の
各々が、他の二つの直線を含む平面に対して直角を成す、三つ組が見られることになりま
す。これは、この三つ組の直線を球の中心点からあらゆる方向へ向かわせることのできる、
いわゆるデカルト座標系です。デカルトの座標系はこのように、球のなかに一種の形態原
理を持っていますが、たとえば人間の頭蓋骨の形態はこの原像の現れのひとつです。さて
しかし、球はその中心点だけではなく、無限遠平面にもこのような三つ組をつくり出しま
す。球は天球周縁に直角三角形をつくり出すのです。この三角形は、デカルトの座標系が
三つの直線と三つの平面から成っているように。三つの直線と三つの点から成っています。
球はこのように、地上にも天上にも三つ組をつくり出しますが、地上では諸半径を構成要
素とする中心点をつくり出し、天球では天球諸直線を構成要素とする“周縁中心”をつくり
出します。
(P.47-48)
 近代幾何学の原空間において私たちがまず第一に理解しなければならないのは、直角が
つくり出す硬い形態ではなくその根底にある数の動力学、完成された円形ではなくプロセ
スとしての循環運動、完成された球形ではなく丸みをつくり出していくプロセスとしての
球形形成運動です。それというのも私たちは、中心点と宇宙の拡がりとの対極性のような、
地上的なものと天上的なものとのあいだに永遠に作用している呼吸する対極性とかかわっ
ているばかりでなく、このような二極間に自らの存在を主張している球形形成原理にも、
つまり静かに自足している有限の球形に見られるような球形形成原理にもかかわっている
からです。
(P.48)
 この原理を数学的に述べるなら、それはその具体的ー霊的な背景をアストラルと呼ばれ
るものの内に持つ、謎に満ちた虚数(√-1)にかかわる原理です。この原理はもはや空間的
なものではありません。しかしそれは、特に循環するものの内に現れる数のリズムの響き
をとおして、空間のなかへ形成的に作用しています。この原理は、エーテル的なものの内
に作用していることから、数エーテル(化学エーテル)として現象界に現れます。
(P.48)

<note23>
◎直角三角形が円に内接するように、円や球の形態は密接に「直角」と結びついている。
◎note19で説明したように、空間の無限遠点は、球の中心点を通る平面をもたらすが、
この平面は、無限遠点へ向かう半径に対してつねに直角を形成する。
球の場合、中心点を通る平面と中心点から球面に延びる半径とが直角になっているイメージ。
◎そうすると、球の中心点で互いの直角を成す「三つ組」の半径が得られる。
つまり、この球の中心点を中心とした(x,y,z)座標(デカルトの座標系)のイメージ。
◎球は、この「三つ組」を無限遠平面にも形成する。
つまり、球は天球周縁に、三つの直線と三つの点から成る直角三角形をつくり出す。
◎近代幾何学の原空間においては、そうした直角がつくり出す硬い形態ではなく、
その根底にあるプロセスとしての球形形成運動を理解しなければならない。
これは、完成されたスタティックなものとしてではなく、それが形成されるプロセスが重要になる。
◎私たちは、地上的なものと天上的なものとのあいだの対極性だけではなく、そうした球形形成原理にも関わっている。
◎この原理は、ー霊的な背景をアストラル的なものに持っている「虚数(√-1)」に関わっているが、
呼吸するように循環するものの内に「数のリズムの響き」を通して、空間のなかへ形成的に作用し、
数エーテル(化学エーテル)として現れる。
◎「反空間」である「エーテル空間」は、物質空間に対して、
もはや空間的なものではない「虚」の空間として表現されるが、
その「虚」つまり、「虚数(√-1)」の原理はアストラル的なものを霊的背景としてもっている
ということはチェックしておく必要があると思われる。
というのも、シュタイナーは、物質界、エーテル界、アストラル界・・・というように、
世界を多次元構造としてとらえているからである。
そして、「反空間」である「エーテル空間」は、この物質空間に対する「虚」の空間として位置づけられている。
◎ちなみに、シュタイナーはエーテル的な力を、
生命エーテル、化学エーテル、光エーテル、熱エーテルの四つに分けてとらえている。
ここで「数のリズムの響き」である「数エーテル」としているのは、そのうち「化学エーテル」である。
◎参考までにいえば(この『エーテル空間』とは直接関係しないが)、
電気、磁気、原子力の深部に潜んでいるエネルギーのことを、
シュタイナーは《堕落したエーテル》と呼んでいるそうである。