シュタイナーは、人間のさまざまな活動分野の芸術的活性化と、芸術的認識および創造自体の革新を、文化の真の進歩のためにもっとも重要な時代の要請のひとつとみなしていた。以下の講義における多様な叙述とならんで、彼自身の芸術的創作活動も、生涯にわたる彼の努力の証である。多数のもののなかでも代表的なものとして、彼の創作した「神秘劇」(GA14)、2つのゲーテアヌム建築、舞台芸術、オイリュトミーなどを思い起こされたい。
■GA271 芸術と芸術認識/新しい美学の基礎
■GA272,273 ゲーテの「ファウスト」の精神科学的解明
■GA272 第一巻:ファウスト、努力する人間
■GA273 第二巻:ファウスト問題
ロマン的ヴァルプルギスの夜と古典的ヴァルプルギスの夜
■GA274 古い民族クリスマス劇のための挨拶
■GA275 秘儀の叡智の光のなかでの芸術
■GA276 芸術的なものーーその宇宙的使命。言葉の精霊。
啓示し、輝く仮象の世界ーー人智学と芸術。人智学と詩。
Kunst und Kunsterkenntnis
Grundlagen einer neuen Aesthetik
1888年の報告講演、1890年と1898年の4つの論文、
1909、1918、1920、1921年に様々な都市で行なわれた8回の講義
この巻においてはゲーテの見解から始まって、人間のファンタジーの源泉、芸術への欲求の心理学的根拠への道が示される。さらに、芸術的なものの超感覚的な根源と、芸術的心情を養成することの意味を示すことにも重点が置かれている。
●内容(抜粋)
・宇宙的なものと、その芸術と人生との関係について。
・美と芸術。
・芸術作品の真実と真実らしさ。
・芸術の本質。
・芸術を通じて現実化される感覚的ー超感覚的なもの。
・感覚的超感覚的なもの。霊的認識と芸術的創造。
・芸術の心理学。
*GA271の講演のうち、「新しい美学の父としてのゲーテ」(1888年11月9日ウィーン)、「芸術の本質」(1909年12月28日ベルリン)、「芸術的ファンタジーの源泉と超感覚的認識の源泉」(1918年5月5日、6日ミュンヘン)、「芸術の心理学」(1921年4月9日ドルナハ)は、「シュタイナー 芸実と美学」(西川隆範編訳平河出版社)に収められています。
Geisteswissenschaftliche Erlaeuterungen zu Goethes "Faust"
シュタイナーのファウスト考察は、ゲーテアヌムでのファウスト場面のオイリュトミー劇の練習活動から生まれ、その後二部構成の劇が全編省略なしで上演された。
Band I: Faust, der strebende Mensch
14回の講義、1911年12月17日 ベルリン、1915年4月4日から
1916年9月11日 ドルナハ
および1回の公開講義 1910年1月23日 シュトラスブルク
マリー・シュタイナーによる序文
●内容
・精神科学の観点から見たゲーテのファウスト。
・ゲーテの「ファウスト」とゲーテとの関係。
・キリストに浸透された人生の源泉へと格闘するファウスト。
・ファウストの霊界参入。
・精霊降臨祭の気分。
・地の霊によるファウストの秘儀参入。
・偉大努力の劇としての「ファウスト」
・古典的幻影。
・ファウストの昇天。
・神秘的認識と自然の霊的啓示。
・母たちの国ー栄光の母。
・叡智・美・善ーミカエル・ガブリエル・ラファエル。
・「ファウスト」の歴史的意味。
・埋葬ー太った死霊と痩せた死霊。
・人間存在の秘密に関するゲーテの洞察。
・ゲーテによって探求された現実の展望。
・「ファウスト」のなかで探求された生成と世界の秘密の深み。
・ルツィファーとアーリマン。
Band II: Das Faust-Problem
Die romantische und die klassische Walpurgisnacht
12回の講義 1916年9月30日から1919年1月19日 ドルナハ
1回の講義 1918年6月12日 プラハ
●内容
・ファウスト問題。
・ロマン的ヴァルプルギスの夜。
・具象に対するゲーテの予感ー影のような概念と現実性の浸透した表象。
・ファウストと母たち。
・ファウストと悪の問題。
・ヘレナ伝説と自由の謎。
・古典的ヴァルプルギスの夜の精神科学的解説。
・精神科学から見たゲーテの魂の生活。
・サモトラケのカベイロス神の秘儀ー人間生成の秘密。
・ギリシア神話における現実観。
・ホムンクルス主義、メフィストテレス主義、ゲーテ主義。
・「ファウスト」に対するゲーテの個人的関係。
Ansprachen zu den Weihnachtspielen aus altem Volkstum
「オーバーウーファーのクリスマス劇」上演の際の18回の挨拶
(1915年から1924年)と、1922年の論文。
および寄稿:
カール・シューベルト「クリスマス劇の回想」
レオポルト・ヴァン・デル・パルス「クリスマス劇冒頭のある音楽家の回想」
Kunst im Lichte der Mysterienweisheit
8回の講義 1914年12月28日から1915年1月4日 ドルナハ
●内容
・マリー・シュタイナーによる導入の言葉(1928)。
・技術と芸術。
・人類の芸術的発展のための変容衝動(*)。
・宇宙の新年。オラーフ・オステソンの夢の歌。
・色彩及び音の世界の道徳的体験。
・彫刻的ー建築的像。
・未来の木星状態とその本質。
*1914年12月29日と30日に行なわれたこの講義は、「人類の芸術的発展のための変容衝動」(1・2)として、「シュタイナー 芸術と美学」(西川隆範編訳 平河出版社)の中に訳出されています。
Das Kuenstlerische in seiner Weltmission
Der Genius der Sprache. Die Welt des sich offenbarenden
strahlenden Scheins--Anthroposophie und Kunst. Anthroposophie
und Dichtung.
8回の講義 1923年5月18日、20日 クリスティアニア(オスロ)
5月27日〜6月9日 ドルナハ
●内容(抜粋)
・古インド文化期から現代に至るまでの後アトランティス時代における人間
の魂の状態の変化。
・古代と現代における芸術の意味。
・芸術的なものの本質。
・認識する人間、宗教的人間、芸術的に創造する人間。
・詩の本質。
・絵画における精神と非精神。
・人智学と芸術(*)。
・人智学と詩。
*1923年5月18日、20日オスロにおけるこの講義の邦訳は、「人智学と芸術1・2」として、「シュタイナー 芸術と美学」(西川隆範編訳 平河出版社)に掲載されています。