ウィーンでの学生生活を終え、著述家、ゲーテの自然科学論文の編集者として活動した後、シュタイナーは1890年にワイマールにあるゲーテ文庫に協力者として招聘されます。また1897年には、シュタイナーはベルリンに移り、活動し、「文芸雑誌」及び「演劇新聞」の編集者として、文学及び文化に関するサークルやさまざまな人々と交流を深めています。この時期に書かれた、シュタイナーの論文、批評などをテーマ別、時代別に集めたのがGA29-33です。
■GA29 1889〜1900年の演劇論に関する論文集 |
■GA30 人智学の方法的基礎/1884〜1901年の哲学、自然科学、美学、心理学に関する論文集 |
■GA31 1887〜1901年の文化史、同時代史に関する論文集 |
■GA32 1884〜1902年の文学に関する論文集 |
■GA33 1894〜1905年の伝記及び伝記的スケッチ |
■GA34 ルツィフェル−グノーシス/雑誌「ルツィフェル・グノーシス」からのアントロポゾフィーに関する基本的な論文と記録 |
■GA35 哲学と人智学/1904-1923の論文集 |
■GA36 現代文化の危機の只中にあるゲーテアヌムの思想/週刊雑誌「ゲーテアヌム」1921-1925からの論文集 |
■GA37 →GA260a等 |
Gesammelte Aufsaetze zur Dramaturgie 1889-1900
●主な内容/
ウィーンの劇場事情/ブルク劇場の危機について/新聞による文体の堕落/老人と若者/演劇論新聞、序文/ささいなこと/マックス・ブルクハルト/劇場への攻撃/役者について/脚本家としてのルートヴィヒ・ティーク/批評家としてのハーデン氏、ある決算/イプセンのドラマ技法/現代の文学的優越としての演劇/新しい演劇と昔の演劇/大衆、批評家、劇場/科学と批評/シェークスピアの秘密/愛国的な美学者/決まり文句の心理学について/悲劇的無実/劇場のスキャンダル/ドイツ劇場の始まり/ウィーン劇場1892-1898/19世紀ドイツの演劇
1884〜1901年の哲学、自然科学、美学、心理学に関する論文集
Methodische Grundlagen der Anthroposophie
Gesammelte Aufsaetze zur Philosophie,Naturwissenscahft.Aesthetik
und Seelenkunde 1884-1901
この巻には主に、哲学に関する論文及び自然科学者、哲学者としてのゲーテに関する次のような論文が収められています。
・新しい美学の父としてのゲーテ
・画一的な自然観察と認識の限界
・哲学における個人主義
・ヘッケルとその論敵
・ゲーテ研究・基本理念
・倫理とキリスト教
またこの他にもこの巻には、ヘルマン・グリム、ルートヴィヒ・ビュヒナー、ヨハネス・フォルケルト、ヘルマン・ヘルムホルツ、フランツ・ブレンターノといった人物に関する批評など、そしてさらに、当時一般的な関心のあった、催眠術や心理学などといったテーマに関する短い論文も収録されています。
Gesammelte Aufsaetze zur Kultur- und Zeitgeschichte 1887-1901
この巻は以下の4部構成になっています。
○第一部/
シュタイナーが短期間ながらオーストリアでのドイツの国民的関心を代表した「ドイツ週報」(ウィーン1888年)の編集をしたときの論説集。
○第二部/
シュタイナーがベルリンで編集した「文芸雑誌」に書かれた文化及び同時代史に関する論説集。
○第三部/
シュタイナーがニーチェ及びニーチェ文庫のために寄稿した論文集。
○第四部/
書評やその他の論集。
Gesammelte Aufsaetze zur Literatur 1884-1902
文学に関するさまざまな重要人物に関する論文、追悼文、評論や世紀末の重要な文学的成果や現象に関する評論、論文を集めた巻。
●主な内容/
I/・読者と批評家
・ルートヴィヒ・アンツェングルーバー
・ホフマン・フォン・ファルスレーベン
・ヴィリバルト・アレクシス
・ヴォルフガング・メンゼル
・ヴィルヘルム・ジョルダン
・フリードリヒ・シュピールハーゲン
・バルザック
・ローザ・マイレーダー
・マリー・フォン・エーブナー-エッシェンバッハ
・ルートヴィヒ・ヤコボウスキー
・フェルディナント・フライリグラート
・現代のドイツ詩
・フェルヒャー・フォン・シュタインヴァントとM.E.デレ・グラツィエ
II/・ゲーテと愛とゲーテの戯曲
・ロベルト・ハマーリング:ホムンクルス
・マックス・シュティルナーとフリードリヒ・ニーチェ
・ペーター・アルテンベルク
・神智学者たち
・ゲーテの世界観と現代
・「自由なる精神」、メーテルリンク
・ローキ
・偶像と懺悔
・ジョン・ヘンリー
III/・その他の書評、文学的催事、記録
Biographien und biographische Skizzen 1894-1905
Schopenhauer - Jean Paul - Uhland - Wieland
Literatur und geistiges Leben im neuzehnten Jahrhundert
シュタイナーは、たとえばショーペンハウエル、ジャン・パウル、ウーラント、ヴィーラントなどの作品を編集、出版する際に、その都度、そうした人物の詳細な伝記を書きました。この巻には、そうした伝記がすべて収められています。
●主な内容/
I.
文学と19世紀における精神生活
革命の時代(1848)から現代までのドイツ文学の主潮流
現代の叙情詩概観
ルートヴィヒ・ヤコボウスキー
詩人の生活像と性格像
序論(「マリア・スチュアート」「盗賊」「陰謀と愛」
フリードリヒ・シラーの「ワレンシュタイン」)
II.
4つの伝記
アルトゥール・ショーペンハウエル
ジャン・パウル
ルートヴィヒ・ウーラント
クリストフ・マルティン・ヴィーラント
世紀末以降の人智学的な精神科学に関する活動の初期には、シュタイナーは、まず当時の神智学の社会の枠組みで、「ルツィファー」という、後に「ルツィフェル−グノーシス」となる雑誌を出版しましたが、そのなかに書かれた論文は、まもなく本の形で発表されました。つまり、それが、「いかにしてより高次の世界の認識を得るか」(GA10)、「アーカーシャ年代記より」(GA11)、「より高次の認識の段階」(GA12)、であり、その他にも精神科学の根本問題に関する多くの論文が発表されました。後期の論文は、とりわけ、雑誌「国家 Das Reich」に発表され、1921年以降は、シュタイナーの創刊した週刊の雑誌「ゲーテアヌム」に発表されました。
Lucifer - Gnosis
Grundlegende Aufsaetze zur Anthroposophie und Berichte
aus den Zeitschriften <<Lucifer - Gnosis>> 1903-1908
「ルツィファー」ないし「ルツィフェル−グノーシス」は、人智学の最初でかつ唯一の雑誌で、シュタイナーはこの雑誌を何年も自分の手で編集していました。その中で公表された重要な人智学のテーマには次のようなものがあります。
・秘儀参入と密儀
・輪廻転生とカルマ
・人間のオーラについて
・超感覚的世界とその認識
その他にも、人智学運動のなかで定期的に発表された記録などが
収められています。
Philosophie und Anthroposophie
Gesammelte Aufsaetze 1904-1923
●主な内容/
・数学とオカルティズム
・ゲーテの創作におけるオカルト的基礎
・数世紀前のドイツにおける神智学
・哲学と人智学
・人智学の心理学的基礎と認識的理論的立場
・神智学と現代の精神生活
・哲学のための第四回国際会議での神智学に関する発言
・精神科学はその敵対者に対してなにをどうすべきか?
・精神科学の課題とドルナハの建築物
・精神科学(人智学)の観点からの人間生活
・死と新生の間の状態の認識
・人智学としての精神科学と現代の認識論、個人的−超個人的なもの
・クリスティアン・ローゼンクロイツに科学の結婚
・超感覚的認識のかつての秘密保持と現在の公表
・人間に対する関係におけるルツィファー的なものとアーリマン的なもの
Der Goetheanumgedanke inmitten der Kulturkrisis der Gegenwart
Gesammelte Aufsaetze aus der Wochenschrift <<Das Goetheanum>>1921-1925
1921年に、週報「ゲーテアヌム」が創刊されましたが、
シュタイナーはその死(1925年)までその編集を手がけ、
そのなかに論文などを書いていました。
この巻に集められているものは、主に次の4つに区分されます。
・世界情勢について
・埋没している精神生活を再び活性化させるための寄与−ゲーテ研究
・書評
・人智学−ゲーテアヌムとその仕事
これらの論文は、その多様なテーマを通して、最後の活動期における
シュタイナーの人物と活動の生き生きとした姿を伝えています。
当初このGA37に収められていた人智学運動、人智学協会のテーマについての
1924年の論文は、現在GA260a等に収められています。