第一次世界大戦中と大戦後における、社会生活改変のためのシュタイナーの提案は、当時激化していたイデオロギー的政治的議論をはるかに凌駕するものであった。当時の議会主義と中央集権的統一国家への包括的批判を皮切りに、シュタイナーは、平等原則を守る法生活、自由な精神生活、友愛に基づく経済生活という「社会有機体三分節化」論を展開する。
■関連著書 GA23:社会問題の核心
邦訳「現代と未来を生きるのに必要な社会問題の核心」
(高橋巌訳 イザラ書房)
GA24:社会有機体三分節化と時代状況に関する論文集
■GA328 社会問題
■GA329 社会の新たな形成のための基礎としての人間本性の解放
古い思考と新しい社会的意志
■GA330 社会有機体の新形成
■GA330a 三分節化同盟と総合的社会改革/文化委員会と精神生活の解放 (仮題)
■GA331 工場協議会と社会化
シュトゥットガルト大工場労働者協議委員会との討論の夕べ(1919)
■GA332 人智学運動、その財務運営はどのようにして可能か(仮題)
■GA332a 社会の未来
■GA333 思想の自由と社会の力/現代の社会的要求とその実際の実現
■GA334 統一国家から三分節化された社会有機体へ
■GA335 (健全な思考への道と現代人の生活状況)
■GA336 (大きな時事問題と人智学的霊認識)
■ (自由な精神生活を養うための全体的社会改革について
変化した社会分野における三分節化同盟)
■GA337a (三分節化理念の深化 第一巻)
■GA337b (三分節化理念の深化 第二巻)
■GA337c/GA337d (経済実践の革新のための人智学的手始め、二巻)
■GA338 社会有機体三分節化衝動のためにいかに働くか
■GA339 人智学、社会三分節化運動、弁論術/特にスイスを念頭に置いた公的活動のための指導講座
■GA340 国民経済講座/新しい経済学の課題 第一巻
■GA341 国民経済セミナー/新しい経済学の課題 第二巻
Die Soziale Frage
6回の講義 1919年2月3日から3月8日 チューリヒ
●内容(抜粋)
・人生に要請される現実に即した社会問題解決の試みと
精神科学的人生理解に基づく必要性。
・狂信と社会的思考および意志における現実的な人生理解、
現在の人類の生の状況。
・新しい科学秩序の基礎としての社会的意志。
・現代のプロレタリアの労働にはどういう意味があるのか。
Die Befreiung des Menschenwesens als Grundlage
fuer eine soziale Neugestaltung
Altes Denken und neues sozialen Wollen
9回の公開講義と質疑応答、討論記録 1919年3月11日から11月10日
バーゼル、ベルン、ヴィンタートゥーア
スイスで行なわれたこれらの講義は、大多数中産階級の第一次大戦を生き延びた聴衆に向けられたものであった。そのためシュタイナーはここでは、三分節化をドイツにおける際とはまったく別のかたちで提示し、このテーマの新しい局面を示している。
Neugestaltung des sozialen Organismus
14回の講義 公開講義、ダイムラー・ベンツ工場、ヴァルドルフ・アストリア
煙草工場およびその他の工業施設の労働者の前での講義
1919年4月22日から7月30日
●内容(抜粋)
・プロレタリアの要求とその未来における実現。
・社会の困窮から実践的目標への道。
・資本と人間の労働力の未来。
・法ー経済制度における社会的なものと人間精神の自由。
・精神のための自由、法のための平等、経済生活のための友愛。
・学校と三分節化された社会有機体の課題。
・現実の人間理解の基礎としての超感覚的経験と認識への道。
・社会運動の歴史。
●内容
・シュタイナーへのインタビュー。
・社会有機体三分節化同盟の集会と協議(ドイツおよびスイス)。
・文化委員会準備。
*この巻の出版時期は未定です。
Betriebsraete und Sozialisierung
Diskussionsabende mit den Arbeiterausschuessen der grossen
Betribe Stuttgarts, 1919
1918年の11月革命に続いて、ドイツ各地でいわゆる兵士ー、労働者ー、工場協議会が形成された。シュトゥットガルトの労働者ー被雇用者委員会の招きに応じてシュタイナーは連続講演を行ない、9回の、一部は実に不穏な集会において聴衆の質問に応じた。社会生活の、それぞれ独立した精神生活、法生活、経済生活への(三)分化が急を要するという思想から始めて、シュタイナーはそれ自身の力から設立されるべき工場協議会の課題と意義を述べているが、同時にこの工場協議会は彼にとって経済生活の包括的復興の原細胞を示すものでもあった。
Anthroposophische Bewegung:Wie kann sie finanziert werden?
●内容
・セレス会社。
・ゲーテアヌムのための信託会社。
・ゲーテアヌムの管理会社。
・ゲーテアヌム協会。
・国際三分節化と銀行設立。
*この巻は現在出版準備中です。
Soziale Zukunft
6回の講義と質疑応答 1919年10月24日〜30日 チューリヒ
●内容
・精神問題、法律問題、経済問題としての社会問題。
・連合体を基礎とした経済。市場の変化。
価格形成、貨幣と税の本質、信用。
・法律問題。民主主義の課題と限界。公権のありかたと刑法の管理。
・精神問題。芸術、科学、宗教。教育制度。社会芸術。
・精神生活、法生活、経済生活。三分節化された社会有機体の統一化。
・三分節化された社会有機体における国民生活と国際生活。
*この巻の邦訳は「社会の未来」(高橋巌訳 イザラ書房)の第二部に収められています。なお、この「社会の未来」の第一部にはGA189「意識問題としての社会問題」のなかから3回の講義が訳出されています。
Gedankenfreiheit und sozile Kraefte
Die sozialen Foerderungen der Gegenwart und ihre
rpaktische Verwickelung
6回の公開講義 1919年5月26日〜12月30日
ウルム、ベルリン、シュトゥットガルト
この6回の講義においてシュタイナーはとりわけ社会紛争の原因とそれを克服する道を示している。
●内容
・社会問題の三重の形態。
・超感覚的な人間本性の認識と現代の課題。
・社会の三分節化による、自由、平等、友愛の理念の現実化。
・精神科学、思想の自由と社会の力。
・現代の精神(霊)生活および魂生活の決算。
・事実の基礎としての精神(霊)認識。
「重要なことは、今私たちが事態をあるがままに真に把握し、こう自らに語りかけることなのです、私たちは以前の精神生活によっては社会化することができなかった、私たちには新たな精神生活が必要だ、と。けれどもそれが可能なのは、法国家から解放された精神生活のみです。私たちは労働力を闘争から遠ざける基盤を必要としています。それが可能なのは独立した法国家のみです。さらに私たちは商品価値の調停を必要としています。これが可能なのは、独立した経済生活を基礎とする場合のみです。これらは、実際に意図することができる事柄なのです。これは単なる革命のお題目などではありません。人々にこれを引き起こす勇気があれば、世界に現在とはまったく異なる状態をほんとうにもたらそうとすることなのです。」(GA333より)
Vom Einheitsstaat zum dreigliedrigen sozialen Organismus
スイスのさまざまな都市での11回の公開講義 1920年1月5日〜5月6日
●内容(抜粋)
・精神科学(人智学)の道と目標。
・体と魂の健康のための精神科学的基礎。
・精神科学の意味での倫理的宗教的力。
・現代の非精神と精神、未来のための非精神と精神。
・教育の力と民族の生命のなかの精神的力。
・三分節化と現代の世界状況。
・現代の経済危機と社会有機体三分節化による経済生活の健全化。
・魂の本質と倫理的な人間の価値。
・現代の民族の精神的倫理的力。
*以下のGA335〜GA337は現在出版準備中であり、タイトルは仮のものです。
Der Weg zu gesundem Denken und die Lebenslage des Gegenwartsmenschen
内容:ドイツにおける三分節化講演 1920-1921
Die rossen Fragen der Zeit und die anthroposophosche
Geisterkenntnis
内容:スイス、オランダ、ノルウェーにおける三分節化講演 1920-1921
Von der totalen Gesellschaftsreform zur Pflege eines freien
Geisteslebens. Der Bund fuer Dreigliederung in einem veraenderten
gesellschaftlichen Umfeld
内容:社会有機体三分節化同盟の集会、協議(ドイツおよびスイス)1920ー1921
Vertiefung der Dreigliederungs-Idee, Band I
社会有機体三分節化同盟の研究の夕べ
●内容より
・プロパガンダについて。
・基礎固めのための三分節化の徹底。
・対外政治のための歴史的観点。
・ヨーロッパ経済生活の歴史から。
Vertiefung der Dreigliederungs-Idee, Band II
スイス社会有機体三分節化同盟の討論の夕べ
●内容より
・社会的判断の形成。
・ピョートル大帝の遺言書。
・三分節化された社会有機体における芸術家。
・景気と経済危機。
・経済生活における連合の課題。
Anthroposophische Ansaetze fuer eine Erneuerung der
Wirtschaftspraxis, 2 Baende
第一巻:株式会社「フトゥールム」[Futurm A. G.]と
「国際実験室」[Internationale Labopatorien A. G.]
内容:集会と協議
第二巻:株式会社「来たるべき日」[Der kommende Tag A. G.]
内容:集会と協議
Wie wirkt man fuer den Impuls der Dreigliedrung dessozialen Organismus?
三分節化思想の演説者と活動代表者のための2回の講習会
12回の講義、質疑応答 1921年 シュトゥットガルト
講座のための図版付き(ファクシミリ)
《演説者講座》(1921年2月12日から17日)は演説の組み立てのための貴重な提案を含む一方、その内容の重点は《社会有機体三分節化》思想への基本的導入に置かれている。
《オーバーシュレージエン人のための講習会》(1921年1月1、2日)は、シュレージエンの国家帰属に関する投票を目前にして、三分節化の基本思想から問題に取り組もうとする人々のグループのために行なわれた。
Anthroposophie, soziale Dreigliederung und Redekunst
Orientierungskurs fuer die oeffentliche Wirksamkeit mit
besonderem Hinblick auf die Schweiz
6回の講義 1921年10月11日〜16日 ドルナハ
●内容(抜粋)
・演説(弁論)の準備。
・三分節化と言語の発達のための歴史的観点。
美しく話すこと、正確に話すこと、良く話すこと。
・演説(弁論)の構成。社会有機体における精神生活。
・社会有機体における法ー国家生活。
・叙情的、劇的、叙事的に話す。
社会有機体における経済生活。言語訓練。
・反復。問いかけを入れる。芸術的手段の適用。
Natinaloekonomischer Kurs
Aufgaben einer neuen Wirtschaftswissenschaft, Band I
国民経済学の学生のための14回の講義 1922年7月24日〜8月6日
●内容
・国民経済学の誕生について。
・価格形成。生産の三要素=自然、労働、資本。
・労働を社会生活に組み込むこと。分業。
・分業による資本の発生。貨幣経済と資本。
・循環過程としての国民経済プロセス。価値の構築と解体。
見かけ上の価値。
・《公正価格》の公式。決済、融資、贈与。
精神生活と経済活動。
・国民経済の運動要素と静止要素。地価。
・国民経済の概念訂正。三つの価格方程式。
・決済、融資、贈与による資本移転。銀行組織。
・国民経済プロセスにおける相互性。利子。
精神生活と法律施行との中間にある経済活動。
・私経済、国民経済、世界経済。
・決済金、融資金、贈与金。古くなる貨幣。
・精神労働と肉体労働。
・貨幣と価格。経済価値としての経済学。
*このGA340の邦訳は『シュタイナー経済学講座 国民経済から世界経済へ』
(西川隆範訳 筑摩書房)で、今年七月に刊行されたばかりです。
Nationaloekonomisches Seminar
Aufgaben einer neuen Wirtschaftswissenschaft, Band II
『国民経済講座』の参加者たちとのセミナー形式の6回の協議
1922年7月31日〜8月5日 ドルナハ
これらの協議は、『国民経済講座』(GA340)で扱われたテーマを補足するより広範な観点を提供してくれる。一、二巻の索引付き。