第一次世界大戦直後、何人かの神学生が、司祭・牧師職活動の復興のために人智学から助力してもらえないかとシュタイナーにたずねた。シュタイナーは、関心のある18人の若者たちのための最初の講座(GA342)によってこの問いかけに応じた。まだ講座の期間中に、参加者たちは彼に引き続き講義をしてくれるよう頼んだ。そこでその年の秋(1921年)に、大幅に増えた百人以上の参加者たちの前で、29回の講義および討論時間から成る包括的な講座(GA343)が実施された。一年後(1922年9月)、先の秋の講座の参加者のうちの45人によって、フリードリヒ・リッテルマイヤー師の主導のもと、さらなるシュタイナーの講義(GA344)と関連して、《キリスト者共同体》の設立が実現された。その後シュタイナーは、宗教復興のためのこの自主的な司祭グループのために、さらに2回の講座を実施した。
シュタイナーは、新しい宗教共同体を設立することは人智学運動の課題ではない、と何度も強調してきたが、彼に寄せられた切願の意義を認め、個人的な助言をもってそれに答えたのである。その助力がどんなものであったか、以下の巻によって明らかになる。
■GA342 キリスト教的ー宗教的活動のための講義と講座、I
改新されたキリスト教的ー宗教的活動のための人智学的基礎
■GA343 キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、II
霊的(スピリチュアル)な認識ー宗教的感情ー祭式行為
■GA344 キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、III
キリスト者共同体の設立に際しての講義
■GA345 キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、IV
作用する言葉の本質について
■GA346 キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、V
黙示録と司祭活動
■GA342
キリスト教的ー宗教的活動のための講義と講座、I
改新されたキリスト教的ー宗教的活動のための人智学的基礎
Vortraege und Kurse ueber christlich-religioeses Wirken, I
Anthroposophische Grundlagen fuer ein erneuertes christlich-
religioeses Wirken
6回の講義と2回の討論 1921年6月12日〜16日 シュトゥットガルト
この巻の講義においてシュタイナーは、1920年と1921年に若い人たちから出された問いかけに応じている。彼らは主にプロテスタント神学生たちで、この時期、それまで人々に示されて内的な拠り所を与えてきた旧構造の崩壊に直面して、宗教生活と宗教活動のための、時代に即した新たな道を模索していた。シュタイナーは、人智学的精神科学に基づくこうした道がどのようにして見出されうるかを示している。
●内容(抜粋)
・神学あるいは宗教。
・いかにして人間はその倫理的衝動を自然法則の世界に適合させるか。
宗教活動の基礎としての共同体形成。三分節化の必要性。
宗教的深化と祭式。
・知と信の分離の克服。
・不死性と先在(前世)。
・質疑応答。
■GA343
キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、II
霊的(スピリチュアル)な認識ー宗教的感情ー祭式行為
Vortraege und Kurse ueber christlich-religioeses Wirken, II
Spirituelles Erkennen - Religioeses Empfinden - Kultisches Handeln
29回の講義と討論 1921年9圧26日〜10月10日 ドルナハ
メモ帳、黒板絵その他のファクシミリ付き。
宗教生活と宗教活動の再興という問題に関心を持つ百人以上のひとが参加したこの講座においてシュタイナーは、霊認識を通じて宗教活動を豊かにし、新たな祭式形成へと導くことのできる道について語った。
■GA344
キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、III
キリスト者共同体の設立に際しての講義
Vortraege und Kurse ueber christlich-religioeses Wirken, III
Vortraege bei der Begruendung der Christengemeinschaft
19回の講義、話し合いと質疑応答 1922年9月6日〜22日 ドルナハ
キリスト者共同体設立会議に関する年代順の概観と補足資料
●内容
・キリスト者共同体の設立者たちとの全部で19回の会合の際にシュタイナー
によって行なわれた講義。
・参加者の質問への答え。
・祭式行為のためのテクストの自筆草稿の複製。
・講義のためのメモと黒板絵。
■GA345
キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、IV
作用する言葉の本質について
Vortraege und Kurse ueber christlich-religioeses Wirken, IV
Vom Wesen des wirkenden Wortes
4 回の講義と質疑応答 1923年7月11日〜14日 シュトゥットガルト
及び補足資料
この巻の前半には、十か月前に設立された《キリスト者共同体》の司祭たちのためにシュタイナーがシュトゥットガルトで行なった4回の講義が含まれる。後半にはシュタイナーの自筆草稿が再録されている。これは、先の第2回と第3回の講座中に祭式行為のための言葉に寄せて伝えられていたことの補足である。
■GA346
キリスト教的ー宗教的活動に関する講義と講座、V
黙示録と司祭活動
Vortraege und Kurse ueber christlich-religioeses Wirken, V
Apokalypse und Priesterwirken
18回の講義、話し合い、質疑応答 1924年9月5日〜22日 ドルナハ
シュタイナーの病臥の始まる直前、この2年前に設立されたキリスト者共同体の司祭たちのために行なわれたこの講座には、シュタイナーがこの《宗教の思考のための運動》の準備と補佐のために行なった講義、講座、協議が含まれている。