シュタイナーノート 74

三王礼拝


2001.12.30

佐藤公俊さんのHPに、「十三夜」、「宇宙的キリストの啓示」に続いて、
同じクリスマス関連のシュタイナーの講義「三王礼拝」が掲載されましたので、
引き続き、その一部をご紹介させていただきます。
 
1月6日は、古代のエジプトでオシリスの祭が祝われる日であり、
テュポンに負けて死んだオシリスをイシスが見つけだす日。
「三王」というのは、「東方の三博士」のことで、
マタイ福音書に、次のようにあります(新共同訳/2-1-2-11)。
 
        イエスは、ヘロデ王の時代にユダヤのベツレヘムでお生まれになった。
        そのとき、占星術の学者たちが東の方からエルサレムに来て、言った。
        「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。
        わたしたちは東方でその方の星を見たので、拝みに来たのです」(…)
        彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を
        贈り物として捧げた。
 
東方の三博士の贈り物である、黄金、乳香、没薬の意味が
講義では、次のように示唆されています。
 
        東方の3賢者の祭りには非常に深遠な象徴主義が含まれていることは
        皆さんに明らかでしょう。15世紀まで、この象徴主義は秘密に保た
        れていましたから、はっきりとそれと示すものは何も残っていません。
        しかし15世紀以降、顕教的な提示によって3賢者の祭りに光があて
        られてきました。博士のひとり、カスパルはムーア人、アフリカの住
        人として、ひとりは白人、ヨーロッパ人、メルキオルで、もうひとり
        はバルタサルで、アジア人です。彼の肌の色はインドの住人のそれで
        す。彼らは乳香と黄金と没薬をベツレヘムのキリスト・イエスへの捧
        げものとして持ってきます。
        この3つの捧げものは意味に満ちていて、1月6日に祝われる祭りの
        象徴主義ぜんたいと調和しています。顕教的には、日付そのものが光
        を投げかけます。この祭りは意味をはらんでいます。1月6日は古代
        エジプトで、オシリスの祭りが祝われる日付と同じなのです。オシリ
        スの再発見の祭りと同じ日なのです。ご存じのように、オシリスは彼
        の敵テュポンに負けますが、イシスが捜し求めて最後にオシリスを見
        つけだします。オシリス、神の子の再発見は1月6日のお祭りで再現
        されます。三王の祭りは同じ祭りですが、キリスト教の形をとります。
        オシリスの祭りはアッシリア人、アルメニア人、フェニキア人の間で
        も祝われました。どこであろうとも、それは、一種の普遍的な洗礼と
        関係した祭りです。水からの再誕生を祝う祭りです。これ自体が、オ
        シリスの再発見との関連を指し示しています。
        オシリスの姿が消えたというのは、どういう意味でしょうか。それは、
        レムリア人種の中期の前の時代から、レムリア人種の中期以降の時代
        への変遷を意味するのです。そのころ人間にはだれひとりとしてマナ
        スが賦与されていませんでした。レムリア人種中期を越えてはじめて、
        マナスが人間に受精する種子として降りて来たのです。マナス(霊我)
        は今や人々の間にばらまかれました。そして個人のひとりひとりに、
        マナスー引き裂かれたオシリスーのために墓が創られました。神的な
        マナスはばらまかれ、それ以降人々のなかで生きました。エジプトの
        秘儀の言葉で、人々の身体は「オシリスの墓」と呼ばれました。マナ
        スは、愛の新たな啓示によって解放されるまで閉じこめられたのでし
        た。(…)
        三王とは誰でしょうか。3つの先行する人種、文化期の秘儀参入者を
        現します。エゴイズムから自由となった愛をもたらす者、キリストー
        復活したオシリスが現れる時までの人類の秘儀参入者たちです。秘儀
        参入者たちはー三王もそうですがーマナスを賦与されていました。彼
        らは贈り物として黄金と没薬と乳香を持ってきます。(…)
        三王、三賢者はレムリア人、アトランティス人、アーリア人の代表で
        す。かれらは3つの贈り物を持ってきます。ヨーロッパ人のメルキオ
        ルは黄金、叡智の象徴、第5根幹人種に優れて表出する知能の象徴を
        持ってきます。第4根幹人種を現す秘儀参入者、バルタサルの贈り物
        は乳香です。それはアトランティス人の特徴と関連しています。彼ら
        は神とより直接的に結びついていました。暗示的な影響力として、一
        種の普遍的な催眠作用として現れた結合でした。神とのこの結合は贈
        り物によって保証されました。神が感情を豊かに出来るように、感情
        が昇華されなければなりません。これは乳香によって象徴的に表現さ
        れています。乳香は直観と関係がある捧げものを表す普遍的な象徴だ
        からです。
         秘教の言語で、没薬は死に瀕すること、死の象徴です。復活するオシ
        リスに現れるような、死と復活の意味とは何でしょうか。…没薬は低
        次の生の死と、高次の生の復活の象徴であります。それは第3根幹人
        種、レムリア人を表象する秘儀参入者の捧げものです。深い意味がこ
        こにあります。ナザレのイエスは非常に高度に発達した個我です。人
        生の30年目に、彼は自らの命を、降下するキリスト、降下するロゴ
        スに委ねます。このすべてを賢者たちは予見します。(…)
        メルキオルは叡智の、智恵の原理の表象です。それは第5根幹人種の
        課題です。これは彼の贈り物ー黄金によって象徴されています。(…)
        聖餐の捧げものの原理は乳香によって表象されます。この捧げものは
        第4根幹人種、アトランティス人で優勢であった原理を象徴していま
        す。キリスト教の課題は、第6根幹人種で成就されます。そのとき物
        質存在は聖餐の原理と聖餐の行為に充ち満ちているでしょう。聖餐は
        今日その意味を大きく喪失してしまいました。その意義の感覚は消え
        てしまいました。しかしこの感覚は、高次の人間が誕生するとき再び
        生命を呼び覚まされるでしょう。これこそ、乳香が象徴するものです。
        レムリア人種で、オシリスは死を迎え、第6根幹人種で、オシリスは
        復活します。
        このように三王の捧げものは、第3、第4、第5、第6根幹人種とク
        リスマスの祭りの関わりを指し示しています。
        (ルドルフ・シュタイナー「三王礼拝」
         1904年12月30日 ベルリン)
 
 

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