ルドルフ・シュタイナー

『神秘学概論(GA13)』ノート

14 進化期の名称


2002.2.27

 

         本書の個々の章の中で、人間の世界と人間自身とが、土星紀、太陽紀、
        月紀、地球紀、木星紀、金世紀、ブルカン星紀の初段階を通っていく、
        と述べられている。また、土星、木星、火星などと呼ばれる諸天体が人
        間の進化とどう関係しているかが示唆されている。これら地球外の諸天
        体も、進化を遂げる。それらの天体が現在達している段階では、その物
        質部分が天文学で言う土星、木星、火星などとして現われている。
         さて、霊学の意味で現在の土星を考察すると、それは古い土星の再生
        した姿である。それは、太陽と地球との分離以前に、特定の本性たちが
        存在していたゆえに、生じた。この本性たちは、太陽の特性を発展させ
        る場所に留まることができず、土星紀にふさわしい特性を多く組み込ま
        れていたので、太陽と地球の分離を共にすることができなかった。
         しかし現在の木星は、未来の木星紀に発達させることのできる特性を
        もった本性たちがすでにいたことによって、生じた。その存在たちのた
        めに、この見たいの進化をすでに先取りできる居住地が生じたのである。
         火星は、月紀の進化を遂げたにもかかわらず、地球紀のさらなる進化
        が遂げられずにいる本性たちの居住する天体である。この星は、高次の
        段階における古月紀の再生である。
         現在の水星は、地球紀よりも進化している存在たちの居住地である。
        この存在たちは特定の地球紀の特徴を、地上で生じうるよりも高次の仕
        方で育成しようとしている。
         地球紀に先行する諸状態と、地球紀の後に続く諸状態は、現在それら
        を代表している星の名にちなんで呼ばれているが、この呼び名の由来は、
        以上に述べたところから理解できる。超感覚的に直観された土星、太陽
        その他の霊的状態と、同じ名を持つ物質上の天体との対応関係を、外的
        な仕方で自然を観察する知性に従って判断する人は、以上にのべたこと
        に対して、いろいろ反対するに違いない。しかし、数学の立場から、太
        陽系を時空間上の出来事としてイメージできるように、超感覚的な認識
        は、この数学的なイメージを魂の内容と結びつけることができる。そし
        てその場合には、上に述べた対応関係が認められねばならない。魂の内
        容とこの結びつきは、厳密な自然科学の考察方式と矛盾するものであっ
        てはならない。もちろん、自然科学の考察方式は、現在のところ、太陽
        系と地球との相互関係を、純粋に数学的、機械的な概念に従って求める。
        この考察方式がこのようなやり方をする一方で、未来の自然科学は、機
        械的なものを魂的なものにまで拡大する考え方をするようになるであろ
        う。
   (P448-450/著者註より)
 
シュタイナーの霊的宇宙進化論で必ず登場する
土星紀、太陽紀、月紀という名称の土星、太陽、月は、
通常我々が使っている天文学でいう惑星名の土星、太陽、月と
どういう関係があるのか、について、よくわからないままでいると、
どうも腑に落ちないところが残ってしまって仕方がないことがあった。
 
最初はこの説明を読んでも、
いまひとつピンとこなかったところがあったのだけれど、
今はこういうふうに理解している。
 
先の「ノート 13●遊星状態と中間状態」で、
「われわれの遊星」も人間の転生のようなプロセスで
物質化された状態と霊化された状態を繰り返しながら進化発展し、
そこにさまざまな霊的存在が関わっているているということを述べたが、
太陽系惑星と呼ばれているもののそれぞれを
惑星進化段階及びそれに対応している霊的存在の居住地である、
というふうに理解することができる。
(ちなみに、「遊星」はPlanetの高橋巌訳で、
ぼくには「惑星」という訳語のほうがしっくりくるのでそれを使う)
 
そういう意味でいえば、現在の地球というのは、
私たち人間という進化段階にある存在が居住するために
適した段階の惑星進化段階にある存在である、といえる。
 
そこで疑問がおこるのは、
たとえばこの地球から宇宙船で月に降り立つということは
いったいどういうことなのか、ということだろう。
その際には、この地球においてもそうなのだけれど、
ノート 13でも述べたように惑星はさまざまなレベルが
同時存在している存在だから、
たとえば、月にしても、その月の物質レベルだけを
体験するということもあり得るということがいえる。
実際、この地球においても、四大霊たちの存在を
通常私たちは直接目にできないでいるのである。
従って、月に降り立った人間にしても、
その物質レベルにしか対応することができない。
それ以外の部分は、それを感じ取ることができたとしても、
それを撮影することもその事実を表現することもできない。
 
そういう意味で、太陽系惑星の名称を
理解するように、ぼくの場合はしている。
ところで、天王星、海王星、冥王星等に関しては、
通常の惑星とは異なった存在としてとらえる必要がありそうだし、
ブルカン星に関しても、現在のところ、
太陽系において物質レベルに対応した存在は見あたらないし、
少なくともそれは発見されていないのかもしれない。
 
シュタイナーの生きていた時代には、
少なくとも冥王星は発見されていなかったのもあるが、
そうしたことに関しても、今後、検討が必要だといえる。
 
 


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