ルドルフ・シュタイナー

『神秘学概論(GA13)』ノート

15 霊的諸存在のヒエラルキー


2002.2.27

 

これから、具体的に土星紀、太陽紀、月紀、
そして地球紀のさまざまな文化期について見ていくことになるが、
その際に、よくとまどうのは、そこに登場する霊的諸存在だろう。
 
おそらく『神秘学概論』が読まれにくいのは、
宇宙進化論における惑星進化段階と
そこにおいて働くそうした霊的諸存在がわかりにくいためではないかと思われる。
そういう意味でも、それを天使の位階(ヒエラルキー)として
次のように整理しておくのも理解の助けになるかもしれない。
 
        ■第1ヒエラルキー
        セラフィム              愛の霊           熾天使
        ケルビム                調和の霊           智天使
        トローネ                意志の霊          座天使
 
        ■第2ヒエラルキー
        キュリオテテス      叡智の霊          主天使
        デュナメイス        動きの霊          力天使
        エクスシアイ        形態の霊          能天使
 
        ■第3ヒエラルキー
        アルヒャイ              人格の霊(時代霊) 権天使
        アルヒアンゲロイ        火の霊(民族霊)   大天使
        アンゲロイ              生命の子、黎明の子  天使
 
        *そして・・・
        人間                自由の霊
 
さて、このヒエラルキーについて
ふつう誤解されてしまうのは、
高次存在は高次の構成要素と関係しているように
イメージされることなのだけれど、
そうではなくて、
「高きものは低くされる」というように、
第一ヒエラルキーは、この地上において(おおざっぱにとらえると)
もっぱら物質的なものに働きかけ、
第二ヒエラルキーは、もっぱらエーテル的なものに働きかけ、
第三ヒエラルキーは、もっぱらアストラル的なものに働きかけている。
(これに関しては『人智学指導原則』にも述べられている)
 
実際のところ、たとえば鉱物をとりあげてみても、
その単に物質的に見える部分はこの地上に存在しているものの、
そのエーテルレベル、アストラルレベル、自我レベルというのは、
順次高次の霊的世界に存在しているがゆえに、
それに働きかけるということは、
その高次のレベルに対応した霊的存在でないとできない、
ということでもあるのではないかと思われる。
 
これは、教育においても、そうした在り方というのはあって、
小さな子供ほど、肉体そのものの働きのほうへの
働きかけが重要だということがいえるように、
その際、もっとも高次の認識力が要求されるということがいえる。
教育者は医者でもなくてはならない、と
『教育学の基礎としての一般人間学』の最初に述べられているのは
そうした意味が込められている、とぼくは理解している。
 
シュタイナーの営為を見てみてもわかるのだけれど、
晩年の講義には、農学や医学など、
物質に直接関わる内容のものが多くなっているが、
それは、物質的なものを認識するためには、
もっとも高次の認識力が要求されるということを示しているのだと思われる。
 
 


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