ルドルフ・シュタイナー

『神秘学概論(GA13)』ノート

18 土星紀3:土星紀の進化プロセス1


2002.3.9

 

ここで、土星紀の進化プロセスを概観しておくことにする。
宇宙進化のプロセスには、高次の霊存在が深く関わっている。
ノート15で見た霊的諸存在のヒエラルキーを
ここで念頭に置いてみる必要がある。
 
         土星進化の全過程は、「意志霊」から流出したものに、「叡智霊、運
        動霊、形態霊」などが働きかけたことの結果である。そしてそのように
        して、これらの霊たち自身も、進化を遂げた。たとえば「叡智霊」は、
        その活動を土星からの反映を通して意識化することができ、そのあと、
        以前とは異なる段階に立つことができた。作用と受容の行為の成果が、
        彼らの存在そのものの能力を高めた。
         (P178)
 
           土星紀の進化は、熱として自己を表わし、次いで光のドラマが、さら
        に味覚と音響のドラマがこれに加わる。そして最後には、土星の内部に
        向けて嗅覚の知覚を伴い、外へ向けては機械のように作用する人間自我
        が現われる。
        (P174-175)
 
土星紀における肉体の萌芽をつくりだしたのは、
主に「意志の霊」の働きであるといえるが、
「意志の霊」だけが働きかけたわけではない。
叡智の霊、動きの霊、形態の霊、人格の霊、火の霊、生命の子が
それぞれの進化段階に応じた働きかけをしていきながら、
それらの霊存在もともに進化していった。
 
ちょうどyuccaの訳したばかりの1923年の大晦日の講義
 『人智学の光に照らした世界史』第八講に、 
これらの霊的諸存在について次のようにある。
 
        お前がお前のなかに鉱物界を取り入れてそれを変化させる限り、お前が
        お前のなかに鉱物界を取り入れてそれを加工する限り、お前はお前の物
        質体にしたがって、セラフィム、ケルビム、トローネの一部なのだ。お
        前がひとつのエーテル体である限り、お前はエーテル体においては動物
        のようだが、お前は第二ヒエラルキア、キュリオテテス、デュナーミス、
        エクスシアイの霊たちと呼ばれる霊たちの一部なのだ、そしてお前が液
        体エレメントのなかで活動する限り、お前は地球の一部ではなく、この
        ヒエラルキアの一部なのだ。そしてお前が空気の形状のエレメントのな
        かで活動することで、お前は地球の一部ではなく、アンゲロイ、アルヒ
        アンゲロイ、アルヒャイというヒエラルキアの一部なのだ、と。 
 
人間が現在肉体、エーテル体、アストラル体、自我といった
構成要素を持つに至るまでのプロセスを理解するためには、
これらの第一ヒエラルキアから第三ヒエラルキアまでの存在を
理解しておく必要がある。
 
まず、意志霊(トローネ)と叡智霊(キュリオテテス)の働きかけについて。
 
         土星紀のはじまりに意志を流出させ、それに浄福を感じていた存在た
        たち、「意志霊」と呼ばれ、キリスト教秘教学では「座」と呼ばれる。
        (P167)
        この流出がある期間続いたあとで、すでに述べた「叡智霊」の働きが、
        この意志と結びついた。この結びつきによって、これまでの無特性な意
        志が、生命を天空へ反射する性質をもつようになった。
         (P167)
        これらの存在たちの本性のもっとも低次の部分は、エーテル体だった。
        (P165)
 
土星紀の最初には、前回まででみたように、
「時間」はまだ存在せず、「持続」という状態。
そのなかを意志霊が勇気の海のように満ちていたということである。
それに輝く叡智のような光の雲である叡智の霊が結びつく。
これは、意志の霊の調和の霊に対する供犠の行為だった。
 
この供犠の行為が土星紀の「熱状態」をつくりだし、
「時の霊」(人格霊/アルヒャイ)が現われることになる。
まさに、「時間」がそこに現象化することになる。
 
この人格霊は、土星紀の「人間」である。
つまり、この土星紀において、人格霊は
現在の人間の進化段階である「自我」意識を有していた。
この自我意識と時間の関係というのが興味深いところです。
 
 


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