ルドルフ・シュタイナー

『神秘学概論(GA13)』ノート

21 土星紀6:土星紀の進化プロセス4


2002.3.9

 

ここで、あらためて土星進化のプロセスの概略を見てみると、次のようになる。
(「アーカーシャ年代記より」人智学出版社版より)
*訳語の問題で少し違う表現があります。
 
        I この惑星上では、最も暗い人間意識が発達する(深いトランス意識)。
          それと同時に、人間の最初の原基が発達する。
        II この進化は、七つの補助的段階(小周期あるいは「循環期」を通過
          する。これらの段階のそれぞれにおいて、高次諸霊は人体形成にお
          ける自らの作業を開始する。
          第一周期において、意志の霊(座天使)
            第二周期において、叡智の霊(主天使)
          第三周期において、運動の霊(権天使)
          第四周期において、形態の霊(能天使)
          第五周期において、人格の霊(根源の力)
          第六周期において、火の子の霊(大天使)
          第七周期において、薄明の子の霊(天使)
        III  第四周期において、人格の霊が自らを人類の段階にまで高める。
        IV  第五周期以降、熾天使が示現する。
        V 第六周期以降、智天使が示現する。
        VI  第七周期以降、真の「人間の創造者」座天使が示現する。
        VII 座天使の示現を通して、この最初の惑星の第七周期において、
              「霊人」アートマンの原基が発生する。
 
『神秘学概論』は、ある意味では、『神智学』、『アーカーシャ年代記から』、
『いかにしてより高次の世界の認識を得るか』を併せて編集した部分が
多いのではあるけれども、とくに「宇宙の進化と人間」の章に関していえば、
そこにはかなり異なった視点が見られるのではないかと思われる。
 
というのも、『アーカーシャ年代記から』での表現では、
「神智学協会」的な説明の仕方が強く、
上記の引用にも見られるように、かなり図式的な説明が勝っている。
それに比べ、『神秘学概論』においては、そういう図式的な説明は少なく、
しかも、高次の霊的存在に関しても、ちゃんと読み込むことで、
高次ー低次という認識図式から自由になることができるようになっている。
 
実際、シュタイナーが晩年になって
各種分野における応用もふくめた展開を行なっていくに際しては、
「神智学協会」的な説明はむしろあまりに図式的すぎて、
認識を妨げてしまうこともあるのではないかとさえ思われる。
 
実際、この『神秘学概論』での土星紀に関する説明でも、
「周期」的な説明をしてはいない。
高次の霊存在の働きとその展開のほうを中心に置いていて、
それによって、読む者に図式的なとらえかたをさせないようにしている。
 
もちろん、シュタイナーの講義を読んでも、
比較的初期のもののほうが読みやすいところがあるのだけれど、
その読みやすさというところがむしろ誤解を生みかねないところが
あるのではないかと個人的には感じることがあったりもする。
それは、あえて対比的に見るとすると、
博物館において展示されているものを順に眺めるような在り方と、
自分の認識のありったけを総動員させながら
それを自分の深いところからとらえながら理解しようとする仕方との違いを
そこに見ることができるのではないだろうか。
 
 


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