ルドルフ・シュタイナー

『神秘学概論(GA13)』ノート

24 太陽紀1:概観


2002.3.21

 

太陽紀において、人間はエーテル体の萌芽を獲得する。
このときの人間は、いわば植物状態であり、
意識の段階としても植物のような夢のない眠りの状態である。
 
また、土星紀では、「意志の霊」が中心となって働いていたように、
この太陽紀においては、「叡智の霊」が中心となって働いた。
 
土星期に続く、こうした太陽紀での進化を概観しておくと、次のようになる。
 
        I 太陽は、その上で人間の第二の意識状態、夢のない睡眠の意識状態
              が発達する惑星である。人間の物質身体は、その中へのエーテル体
          の浸透を通じて、一種の植物状態へと高まる。
        II この進化は、七つの補助的な段階(小周期あるいは「循環期」を通
          過する。
              1 これらの内第一周期において、土星の進化段階が、物質身体に
                関しては幾らか変化した形で反復される。
          2 第一周期の最後において、「叡智の霊」によるエーテル体の発
            出が始まる。
            3 第二周期の中頃において、「運動の霊」のこの体への作業が始
            まる。
          4 第三周期の中頃において、「形態の霊」のエーテル体への作用
            が開始される。
          5 第四周期の中期以降、この体「人格の霊」を通じて自己性を受
            ける。
          6 一方物質身体は、より早い時期からその上に作用し続けている
            諸力の活動を通して、第四周期以後、「火の霊」がそれを通じ
            て自らを人間へと高めうるほどに発達している。
          7 第五周期の中頃において、すでに人類の段階を通過していた
            「火の霊」は、エーテル体への作業を受け継ぐ。この当時物質
            身体の中では、「薄明の子」が活動的である。
          8 第六周期の中頃において、エーテル体への作業は「薄明の子」
            に転任される。人間自身が、今や物質身体に働きかける。
          9 第七周期の間に、生命あるモナドが成立する。
        (「アーカーシャ年代記より」人智学出版社版/P166-167)
 
「土星体」はおもに「熱」から成っていたが、
これが太陽進化紀になると、
「現在のガスもしくは蒸気に比較される状態にまで濃縮する」。
この状態は「空気」状態であると呼ばれる。
(土星紀は熱状態、太陽紀は空気状態、月紀は水状態)
この状態は、「運動霊」の活動が始まってから現れる。
 
「人格の霊」は、土星紀において人間の肉体に働きかけたように、
この太陽紀においては、「愛の霊」とともに人間の生命体に働きかける。
 
        土星紀においては、熱が、人格霊の人格を人格霊自身に向けて反射した
        ように、今、気体が光輝きながら、人格霊の直感意識の形象を、人格霊
        自身に向けて反射する。…気体となった太陽から放射される形象の中に
        は、地球紀の人間にとっての愛に似た力が作用している。…
        太陽から発するこの光の中には、崇高な存在たちの活動が見出せる。そ
        れはすでに触れたことのある「愛の霊」、キリスト教の「セラフィーム」
        の働きである。愛の霊はこの時期から、人格霊と協同して、人間の生命
        体に働きかける。この活動のお陰で、人間の生命体は、進化の一段高い
        ところにまで前進する。生命体は、自分の中に存在する気体存在を変化
        させ、その中で人間の生殖活動が始められるようにする。気体存在が特
        定の形態をとるようになると、そこに発汗作用のような一種の排泄作用
        が生じ、それによって生じたものから、母体存在に似た形体が作られる
        ようになる。
        (P185)
 
また、このとき人間の肉体には、「火の霊」が働き、
現在の感覚器官の萌芽が生じはじめる。
 
        一方その肉体には、停滞した土星本性の一部が混入し、そしてそこに
        「火の霊」が働いているのである。停滞した土星本性に「火の霊」が働
        きかけて生じさせたすべてのものの中には、地球人の現在の感覚器官の
        先触れが見られる。
        (P188)
 
さらに、「生命の子ら」(天使)と「調和霊」(ケルビーム)との
共同作業が始まり、人間存在の内部には
「味覚に比較され、そして外に向かっては音響として現れるようなもの」ができるが、
土星紀に比べて、より内面化され独立したものとなっている。
 
そして、太陽紀の終わりにおいて、人間は
人格のように作用する植物のような状態になり、
「生命霊」(ブッディ)への最初の萌芽が形成される。
 
        今や人間存在は、内的な嗅覚知覚とでも言えるような意識内容を、内面
        の営みの中に発達させ、外なる天空に向けては、自分を一個の人格とし
        て、内なる「自我」によっては導かれない人格として、告知する。それ
        は、むしろ人格として作用する植物のように現れる。
        (P190)
 
さて、補足的に、恒星と惑星の違いについてふれておきたいと思う。
 
         この進化を理解するためには、この第二周期においては、太陽はいま
        だ惑星であり、後になって初めて恒星という存在へと進歩した、という
        ことを理解せねばならない。神秘学の見地からすれば、恒星とは、それ
        から離れて位置する一つ、あるいは複数の惑星に対して生命力を送る星
        である。第二周期の間、太陽はいまだその条件を満たしていなかった。
        当時それはまだ、力を与えるべき諸存在と結合していたのである。これ
        らの諸存在ーーそしてまた当時の進化段階にあった人間ーーは、まだ太
        陽の上に生きていた。
        (「アーカーシャ年代記より」人智学出版社版/P158)
 
惑星は、恒星へと進化する。
かつて太陽は惑星であり、
太陽紀において恒星に進化することになった。
ということは、地球も未来において恒星へと進化することになるのだろう。
 
 


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