ルドルフ・シュタイナー

『神秘学概論(GA13)』ノート

31 地球紀1 地球進化のプロセス


2003.2.11

 

まず、「神秘学概論」に記述されている地球進化のプロセスを
レムリア時代の月の分離あたりの概略を確認してみることにしたい。
 
土星紀、太陽紀、月紀に続く地球紀では、
人間は、肉体身体、エーテル体、アストラル体に、
自我を加えた「四重の人間」となり、
土星紀の昏睡意識、太陽紀の睡眠意識、月紀の夢意識ではなく、
「対象意識」を獲得することになるが
そのプロセスは、まず「三つの前段階」を経る。
 
「三つの前段階」というのは、
土星紀の繰り返し、太陽紀の繰り返し、月紀の繰り返しである。
 
その第一段階である土星紀の繰り返しにおいては、
「肉体がある高みにまで引き上げられ、
新たに始まる対象意識の基礎を作るのに必要な形態を発達させる」。
第二段階である太陽紀の繰り返しにおいては、エーテル体が、
第三段階である月紀の繰り返しにおいては、アストラル体が成熟を遂げる。
 
その三度目の繰り返しが終わった後、
「すべての本性やその働きがここで再び霊化される」。
そして、地球紀の物質的進化が始まる直前において、
アストラル界(魂界)のなかに現われる。
その時期の人間はアストラル形態であって、
肉体も生命体もそのアストラル形式のなかで存在していた。
 
その宇宙体のなかで、「濃縮」と呼ばれうるプロセスが起こり、
「火の形態」が現われる。
これは土星紀の最も濃縮した状態に似ている。
そしてアストラル体の一部分が感覚魂の最初の萌芽となる。
この時期にとって重要なのは「人格霊」である。
この発展段階における人間は、
感覚魂とアストラル体とエーテル体、
及び火によって構成された肉体から成っていた。
 
さらに濃縮化は進行していき、
「その本性部分の僅かしか、火として残らないほどにまで濃縮化が進行」し、
その残りの部分が「気体」または「空気」と呼べるような形態を取る。
そしてアストラル体の一部分が悟性魂の最初の萌芽となる。
この時期にとって重要なのは「大天使」である。
 
それまでの地球は太陽と一体だったが、
火と空気とからなる地球から、太陽が独立、分離し、現在の太陽になる。
それは「ヒュポルボレアス時代」といわれる時代の後半である。
 
        太陽が分離したのは、高級霊たちが自分自身の進化や地球の進化のために
        働くには、水にまで濃縮した物質をそれ以上もはや担い続けられなくなっ
        たからである。この高級霊たちは、必要な要素を他の存在たちと共有して
        きた地球体から去って、太陽に新しい居住地を作った。さてそのとき以来、
        この高級霊たちは、太陽から地球へ、外から働きかけている。(P231-232)
 
その太陽霊のひとつがキリスト存在である。
 
さらに水の成分が地球体に組み込まれ、
地球体は、火と空気と水からなる存在になり、
人間の魂に、感覚魂と悟性魂に加え、意識魂の萌芽が生じる。
水の要素のなかには「天使」が働いている。
 
さらに地球の濃縮プロセスは続いていき、
「地」と呼ばれる個体の部分が加わり、
人間も地上生活に必要な部分に「地」の要素を組み込んでいくが、
そのまま進化が進んでいくと、その固体部分の影響を受けて、
硬化し続けなければならなくなるため、月が地球から分離する。
 
        これまで直接地上で固体的な形体を生み出してきた力が、それからは弱め
        られた仕方で、月から間接的に働きかけるようになった。固体形式を司る
        高次の存在たちは、地球の内部からではなく、その外部から作用するよう
        になったのである。(P239)
 
レムリア時代のことで、
この時代に、両性が分離することになった。
月が地球から分離する前は、人間は太陽の力を外から受け取る
いわば女性的な存在だったといえるが、
月が地球から分離することで、太陽が男性的な力を、
そして月が女性的な力を地上に及ぼすようになった。
 
両性が分離する前はいわば両性具有的であったが、
両性の生殖によって子どもが生まれるようになると、
霊界から地上に受肉してくる、いわば個的になった人間の自我に
肉体を提供するという意味合いが強くなった。
しかしそのことは同時に「死」を体験するということでもあった
ということに注目する必要がある。
 
さて、ここで自我がでてくることになる。
 
        人間は、地球紀に、個体化された魂を獲得した。月紀に「運動霊」が流出
        した人間のアストラル体は、地球紀になると、感覚魂と悟性魂と意識魂と
        に区分できるようになった。そして意識魂がさらに進化して、そのための
        ふさわしい体を地上生活のためにつくり上げたとき、「形態霊」が自分の
        本性の火を、その人間に付与した。かくして「自我」が人間の中に点火さ
        れた。(P252)
 
 


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