これから数回にわたって、シュタイナー思想によくでる基礎知識とでもいうものを簡単なレジュメという形でご紹介したいと思います。
これらを作成するにあたっては、基本的に、西川隆範氏の「シュタイナー思想入門」を使用し、それぞれのテーマに応じ、随時「神秘学概論」等を参照することにします。
<1>シュタイナーの人間観
<2>シュタイナーの世界観
<3>輪廻転生とカルマ
<4>アカシャ年代記
<5>高次世界の認識と「行」
シュタイナーによれば、人間は、次の7つの構成要素(詳しくは9つの構成要素)からなりたつ存在です。
(1)肉体-----------------物質(鉱物・植物・動物界の領域特性)
(2)生命/エーテル体-----生命の働き(植物・動物界の領域特性)
(3)魂/アストラル体-----感情の働き(動物界の領域特性)
(4)自我(精神)---------意識的な思考・感情・意志
【感覚魂・悟性魂・意識魂/9つの区分の場合】
(5)霊我(マナス)-------自我の力によって霊化されたアストラル体
(6)生命霊(ブッディ)---自我の力によって霊化されたエーテル体
(7)霊人(アートマ)-----自我の力によって霊化された肉体
上記の内、(1)〜(4)は、実現されていますが、(5)〜(7)は可能態として存在していて、まだ存在してないものの、この(1)〜(3)の変容は、すでに魂の領域において、以下のような分化(意識魂、悟性魂、感覚魂)が行われていて、それぞれが(5)〜(7)へと発達していきます。また、これらの意識魂、悟性魂、感覚魂は、それぞれイマジネーション認識、インスピレーション認識、インテュイション認識の可能性をはらんでいます。
●肉 体 → 意識魂(イマジネーション認識) → 霊我
●エーテル体 → 悟性魂(インスピレーション認識) → 生命霊
●アストラル体 → 感覚魂(インテュイション認識) → 霊人
これらの認識は、通常の意識を超える世界の認識であり、イマジネーション認識は、霊視的認識であり、魂の世界を知覚するもの。インスピレーション認識は、霊聴的認識であり、神霊の世界を知覚するもの。インテュイション認識は、高次の霊的世界へといたり、神霊の本質を認識するもの、ということです。
全体としての人間存在をみると、肉体、エーテル体、アストラル体という3重の覆いのなかにあって、感覚魂、悟性魂、意識魂の中心で、それらを治める精神としての「自我」の生がわれわれ人間である、ということになります。
古くからの伝統的な【霊】【魂】【体】という区分でいえば、
【体】肉体・エーテル体・アストラル体
【魂】感覚魂・悟性魂・意識魂
【霊】霊我、生命霊、霊人
となります。
シュタイナーによれば、世界は以下の3つから成り立っている。
●物質界/大地・海洋・大気からなり、鉱物、植物、動物、人間の活動の場
●魂界 /共感と反感という2つの構成要素から成る反感と欲念の渦巻く低次領域と共感、光、魂的活動、魂的生命が輝く高次領域形態と色彩の世界、漂い流れる色彩の海の世界
すべてが鏡像の形で見える
毎夜夢の中で算入している世界
欲界(仏教)/煉獄(キリスト教)
イマジネーション認識の世界
●霊界/ すべてが陰画の形で見える
【霊界の下位部分】
・第1領域:大陸/物質の原像が存在する
・第2領域:大洋/生命の原像が存在する
・第3領域:大気/魂の原像が存在する
・第4領域:本来の思考世界/思考の原像が存在する
*インスピレーション認識の世界
【霊界の上位部分】完全な光と叡智の世界
・生命の萌芽の領域
・宇宙の意図の領域
・原像の創造力の領域
*インテュイション認識の世界
*下位の霊界と上位の霊界を分ける境界は、アカシャ界と呼ばれる。
◆瞑想によって、魂界、霊界は瞑想者の霊眼に開かれる世界であるが、人間が死後通過してゆくことになる世界でもある。
上記の【魂界】【霊界】を地球をめぐる諸惑星の領域に置き換えると
●低次の魂界---------【月界】
●高次の魂界---------【金星界】
【水星界】
【太陽界】
●霊界の大陸---------【火星界】
●霊界の大洋---------【木星界】
●霊界の大気---------【土星界】
●霊界の思考領域-----【黄道12宮界】
となるが、月界から黄道12宮まで、空間的な上下の段階の区別があるのではなく、地球を中心とするそれぞれの星の軌道内の空間全体が、それぞれの星の界である。
<1>で紹介した【体】【魂】【霊】の区分ですが、人間の本性を、肉体、エーテル体、アストラル体、自我。霊我、生命霊、霊人の7つに分ける場合には、以下のようになる。
【体】肉体、エーテル体
【魂】アストラル体
【霊】自我、霊我、生命霊、霊人
●本来の霊的存在の9つの位階
キリスト教
●生命の子(黎明の子、個人の守護霊) 天使
●火の霊(民族霊) 大天使
●人格の霊(時の霊、時代霊) アルヒャイ(権天使)
●形態の霊 エクスシアイ(能天使)
●動きの霊 ヂュナメイス(力天使)
●叡智の霊 キュリオテテス(主天使)
●意志の霊 トローネ(座天使)
●調和の霊 ケルビーム(智天使)
●愛の霊 セラフィーム(し天使)
●悪魔の2つのタイプ
もともとは善良な霊的諸存在の仲間であったのに、途中から別の道をたどり、上記の位階から離れていった存在として、以下のような2つのタイプの悪魔的な存在がいる。
◆アーリマン(人間を物質の闇の中に引きずり込もうとする悪魔)◆
・ゾロアスター教において、光明の神アフラ・マズダに対抗する闇の霊で、人間に破壊衝動を植え付ける。
・人類に科学、学問をもたらした存在でもある。だから、人類は厳密な思考方をこのアーリマンを通して獲得したが、その傾向がゆきすぎると、非人間的な数量的思考作業によって、すべてを割り切ろうとするようになってしまう。
◆ルシファー(人間を現実から遊離させて幻想の中に引きずり込もうとする悪魔)◆
・聖書に登場する堕天使で、「光をもたらす者」を意味し、人間を過去の霊性に連れ戻そうとする。
・人類に自由と自我の独立性を与えた。
・このルシファー衝動を通して、人間は自分を高貴な存在と感じ、日常を超えた情熱をもつことができるようになる。しかし、この傾向が過剰になると、世俗の人々を見下し、独善に陥ることになってしまう。
*このアーリマン的な極とルシファー的な極の中間にそびえる9位階霊的存在が、魂界霊界にあって、地上の文明と人類の発展に関与している。
人間は一つの体験にとどまるのではなく、数多くの体験を経て、成長してゆかねばならない。それぞれの時代の文化を地上で体験することによって全人への道が歩まれうる。つまり、人間は輪廻転生を繰り返しつつ、それぞれの人世で得た成果を霊界へ担ってゆく。そして、霊界で地上への働きかけをおこないつつ、次の人世を準備する。
シュタイナーによれば、死後、人間は次のような経過を辿る。
(1)死/自我、アストラル体、エーテル体が肉体から離れる。
*眠りの場合は、自我とアストラル体が、エーテル体と肉体から離れて、
魂的・霊的な宇宙空間へと上昇じてゆく。
(2)2、3日〜数日かけて、自分の送ってきた一生を、「像」の形で、外から見る。
この後、エーテル体はエーテル界のなかに消え去ってゆく。
*エーテル体は、記憶の担い手である。
(3)アストラル体と自我からなる存在として、魂界に。
自分の一生を、もう一度、死の瞬間からはじめて、逆に、誕生の瞬間へと体験してゆく。しかも、今度は、自分の送った一生を内側から体験してゆく。
(自分が誰からの魂に与えた痛みや喜びをその人の側から体験)
この通過に要する時間は、地上での人世の約3分の1。
(睡眠に費やされた時間)
(4)魂(アストラル体)を捨て去った人間は、一個の霊(自我)として霊界へ。
上記の内容をさらに惑星領域の区分で、詳細に叙述すると以下のようになる。
●低次の魂界
【月界】
・死後、物資的な享楽、感覚的な喜びへの終着を消し去る。
●高次の魂界
【金星界】
・高次の物質的、感覚的享受が浄化、消却される。
【水星界】
・地上における理想に向けての献身的な働き、知的興味からの学問研究、面白さを動
機とした芸術活動等の浄化。
【太陽界】
・魂は、物質界への執着をすべて払い落し、魂界のなかに解消する。
●霊界の大陸
【火星界】(鉱物の原像が陰画の形で広がっている。)
・かつて自分のものであった肉体が、物質一般と別のものではないことを知る。
・死者は地上で身近だった人々に再会することになる。
●霊界の大洋
【木星界】(生命が淡紅色に流れている)
・地上で、宗教を通して仰ぎ見ていた調和を体験する。
・地上で同じ信条によって結び付いていた人々と再会する。
●霊界の大気
【土星界】(人間が抱く感情が天候として現われる)
・この領域に生きているのは没我的献身の力であり、
この領域では献身という能力を獲得する。
●霊界の思考領域
【黄道12宮界】(創造の力が生きている)
・科学、学問、芸術等の霊感はこの領域で獲得される。
●これらの領域を通って、死者はさらに高次の霊界へと上昇していく。
●カルマの法則
・人間が外界からなんらかの印象を受け取ると、その印象は人間の内面にとどまり、なんらかのきっかけがあると、思い出として意識に戻ってくるように、人間が外界に体してなした行為は外界にとどまり、機が熟すると、その行為が自分に戻ってくる。この法則をカルマの法則という。
・カルマの法則という因果率を観察すると、現在現われている結果の原因は多くの場合、前生にある。また、現在の行為の結果は多く来世で現われる。
・外的な経験が次の人生でアストラル体を形成する。アストラル体が有した快や苦は次の人生においてエーテル体に表現される。エーテル体の傾向は、次の人生において、肉体の健康あるいは病気として現われる。肉体の行為は、次の人生で、外的な運命としてその人に帰ってくる。
・カルマの法則を知ることによって、現在の人生を解明できる。同時に、ある人生における自分の行為の結果が次の人生に現われるのだから、現在の自分の行為を通して、来世の自分の人生を形成してゆくことができる。つまり、現世は、前世の結果としてあると同時に、来世の原因としてある。カルマという考え方は、宿命論的なものではなく、未来に向かっての創造的な人生の力となるのである。
・人生の謎、人間関係の不思議、世界史の秘密がカルマと輪廻転生の観点から解明できる。
●アカシャ年代記は、この宇宙より前に3つの宇宙があったと記している。それ以前にも宇宙はあったはずだが、その様子は霊眼に映じない。霊眼には、今の宇宙より3つ前の宇宙までしか見えず、また、今の宇宙より3つ先の宇宙までしか見えない。それ以前、それ以降については知りようがない。
●宇宙進化の有様を観察すると、7つの惑星紀(意識状態)があり、惑星紀のそれぞれが7つの時期(周<ラウンド>あるいは生命状態)に区分され、さらにそれらの周のそれぞれに、7つの状態(球<グローブ>または形態状態)が存在する。つまり、7つの惑星紀(意識状態)×7つの周(生命状態)×7つの球(形態状態)ということになる。
●惑星紀と人間の諸状態、及び諸構成要素の形成との関連
(1週間の土曜、日曜、月曜、火曜、水曜、木曜、金曜が意味するものでもある)
◆土星紀 (昏睡状態/今日の鉱物の意識)−−−−−−−− 肉体
◆太陽紀 (睡眠意識/今日の植物の意識)−−−−− エーテル体
◆月紀 (夢意識/今日の動物の意識)−−−−− アストラル体
◆地球紀/火星・水星紀(対象意識/昼の意識)−−−−−−−−−−−− 自我
◆木星紀(新エルサレム) 心的意識/自己意識的な夢(形象)意識)−−− 霊我
◆金星紀 (超心的意識/自己意識的な睡眠意識)−−−− 生命霊
◆ヴルカン星紀 (霊的意識自己意識的な昏睡(全体)意識)−−− 霊人
●7つの周<ラウンンド>
あるいは生命状態
◆第1元素界
◆第2元素界
◆第3元素界
◆鉱物界
◆植物界
◆動物界
◆人間界
●7つの球<グローブ>あるいは形態状態
◆没形態的状態
◆形態的状態
◆アストラル的状態
◆物質的状態
◆彫塑的状態
◆知性的状態
◆元型的状態
●上位の霊界から物質界までは、以下の時間展開と対応関係にある。
◆上位の霊界/土星紀・第1元素界・没形態的状態
◆下位の霊界/太陽紀・第2元素界・形態的状態
◆魂 界/月紀・第3元素界・アストラル的状態
◆物 質 界/地球紀・鉱物界・物質的状態
●現在の地球は、まず土星紀、太陽紀、月紀を繰り返し、没形態的霊状態、形態的霊状態、アストラル的状態を経て、地球紀・鉱物界状態・物質状態にいたっている。7つの惑星紀(意識状態)、7つの周(生命状態)、7つの球(形態状態)、それぞれの4番目の時空のなかに現在の人類はいる。
そして、4つの根幹人類期(ポラール時代、ヒュペルポレアス時代、レムリア時代、アトランティス時代)を経て、現在の第5根幹人類期にいたり、そのなかで、インド文化期、ペルシア文化期、エジプト文化期、ギリシャ文化期を通過して、現代にいたっている。
●4つの根幹人類紀について
■ポラール時代
・地球はエーテル物質から形成され、その周囲をアストラル的な大気が包んでいた。このアストラル的な大気圏のなかに、人間の魂が浮遊していた。アストラル的な大気圏のなかの人間の魂は、エーテル的な地球にみずからを刻印し、エーテル的な地球の上にエーテル的な人間達が存在するようになった。
・エーテル球である地球上に無数のエーテル人間が存在し、アストラル的な大気圏のなかの人間の魂が地球上のエーテル人間を統治していた。
■ヒュペルポレアス時代
・この時代の前半まで、太陽はまだ地球の内部にあった。後半になって、太陽が地球から分離するという事件が起こって、外から光を地上に注ぐようになった。
・それからヒュペルポレアス人は鐘のような形をし、その鐘は太陽の光を受け入れるために上方に向かって開いていた。
■レムリア時代
・この時代になって、地球のなかのもっとも粗雑な部分が月として地球から分離し、地球は荒廃を免れた。月が地球から分離する前、人間は太陽の力を受け取る女性的な存在であった。月が地球から分離したのち、太陽が男性的な力を、月が女性的な力を地上に注ぎかけるようになった。このことを通して、レムリア時代に人間は男と女に分かれた。
・男女両性具有であったころ、人間は自ら子どもを生みだし、その子どもの中に自分の意識を移行させていたが、男女に分かれ両性の生殖行為を通して子どもを生むようになると、それができなくなった。そして、年老いて肉体が崩壊すると、かつて肉体と結びついていた意識は物質界から去ってゆくことになった。この時代になって人間は死を体験するようになったのである。
・輪廻転生はレムリア時代に開始された。
・レムリア時代のはじめ、地球は火のような水からできていて、人間はまだ肺をもたず、 えらで呼吸していた。やがて、水が引いていき、浮袋で空気をすうようになった。また、が聴覚器官へと変化した。そして、この呼吸を通じ、自我が直立した人間に受け取られた。
・このレムリア時代に、ルシファーが人間に対する働きかけを始め、人間に独立と自由を与え、善悪の区別を教えた。そして、同時に、神々から独立した存在になった。
・レムリア大陸で、男たちは意志の育成に励み、女たちは想像力の発展にいそしんだ。
・レムリア大陸の気温は高く、火山がいたることこで火を噴いていた。人間は邪悪な情欲をもつと、それに対応して火山は火を噴いた。
・やがて、レムリア大陸は火山の爆発によって崩壊。一部の人間が、逃れてアトランティス大陸へと移った。
■アトランティス時代
・アトランティス大陸は現在の大西洋の位置にあった。
・アトランティス人は、卓越した記憶力をもっていて、太古の叡智の記憶に基づいて巨大な文明を築いた。
・彼らは、植物の生命力を利用した飛行機も持っていた。
・アトランティス時代になってはじめて人間は言葉を使うことができるようになった。
・アトランティス大陸には、土星神託、木星神託、火星神託、ヴルカン神託、水星神託金星神託があって、それらを統合する太陽神託があった。その太陽神託の指導者は、ヌ(ノア)という人物であった。
・やがて、アトランティス人は、その文明のなかに溺れ権力的になっていった。
・マヌは文明に毒されていない素朴な人々を集めて、アイルランドからヨーロッパを経て、ゴビ砂漠に向かった。
・アトランティスの文明を洪水が襲い、海中に沈めた。
■以降、以下の文化期を経て、現代の第5文化期にいたり、さらに人類は次の文化期に移ることになる。
◆インド文化期/BC7227−5067
・エーテル体の文化の時代
・マヌは、7人の人物を選び出し、彼らにアトランティスの土星神託、木星神託、火星神託、ヴルカン星神託、水星神託、金星神託、太陽神託のそれぞれの叡智を担わせた。その7人がインドの7人の神仙(リシ)と呼ばれる人たちである。彼らは、宇宙の彼方に存在するヴィシュヴァカルマン神について語り、彼らの語った叡智の余韻は「ヴェーダ」の中に残っている。
・春分点は蟹座に位置し、人々は霊会に眼差しをむけ、彼らの目には物質界は、幻影(マーヤー)と映った。
◆ペルシア文化期/BC5067−2907
・アストラル体の文化の時代
・マヌは、7人の仙人の他に特別の弟子を一人もっていた。この弟子は後にゾロアスターとして再受肉し、ペルシア文化を建設した。彼は、光の神アフラ・マズダを人々に説き、アフラ・マズダに対抗する悪魔アーリマンのことを語った。
・春分点は双子座に位置し、人々は地上への働きかけを開始した。
・ゾロスターは、自分のアストラル体をヘルメスに、エーテル体をモーゼに与えた。ヘルメスはゾロアスターのアストラル体を通して宇宙空間についての叡智を獲得しモーゼはゾロアスターのエーテル体を通して宇宙の歴史についての知を得て、「旧約聖書」の「創世紀」を書いた。
◆エジプト文化期/BC2907−747
・感覚魂の文化の時代
・ヘルメスがエジプト文化を築いてゆく。
・密儀の文化が開花し、オシリス、イシス、ホルスの親子神が崇拝された。
・春分点は雄牛座に位置し、人々は星界の法則に基づいて地上社会を建設しようとした。
◆ギリシア文化期/BC747−AD1413
・悟性魂の文化の時代
・ギリシャ文化は純人間的な文化であり、哲学、芸術美しい果実をもたらした。
・春分点は牡羊座に位置し、人々はプルートー、ポセイドン、ゼウスが活躍する神話を愛し、アポロン、ディオニュソスを崇拝した。老熟した地上の叡智と若々しい宇宙的な霊力という2つの流れは、プラトンとアリストテレスの二人によって代表された。
◆第5文化期/1413−3573
・意識魂の文化の時代
・ルネサンス時代を境として、人類は新しい時代に足を踏みいれた。
・ギリシャ文化を鏡とするかのように、KNO新しい時代はエジプト文化を反映している。エジプト文化期のカルマが近代・現代のなかに反映している。エジプト時代のミイラへの情熱が、現代の唯物主義の隆盛とカルマ的に結びついている。
◆第6文化期
・霊我の文化の時代
◆第7文化期
・生命霊の文化の時代
●3つの修行の道/霊的発展の道
これらの道はなによりも師に対する弟子の献身のありかたによって区別される。
(神智学の門前にて(イザラ書房参照)
◆東洋の道
・東洋の修行法、ヨーガの修行法においては、地上に生きている人間が導師−グルであり、修行者は完全にグルに頼ることになる。自己をまったく消し去り、グルに帰依するときに、もっともよく進化する。
◆キリスト教の道(感情を育成した人に適している)
・グルの一人に帰依するのではなく、偉大なグルであるキリスト・イエスに属していると感じ、キリスト・イエスとひとつになる。しかし、地上のグルを通してキリストに導かれなければならない。ここでも、物質界のグルへの依存はある。
◆薔薇十字の道
(科学の基盤の上に立ち、科学のために信仰に疑いをもっている人に適している)
・修行者はグルからもっとも独立している。グルはもはや導師ではなく、助言者である。グルは修行者がなにを内的に行うべきかについて教示を与える存在である。同時にグルは、霊的な修行と平行して、確かな思考の発展を育成する。はっきりとした思考の発展なしには、霊的な修行を行うことはできない。薔薇十字の修行では、物質界で思考を特に修練する。一貫した力強い思考が、神智学的な真理の学習あるいは思考の行を通して形成される。
(「自由の哲学」を研究することが、この修練になる)
●仏教における霊的認識の4つの主要段階
(1)初 禅/欲を離れて対象を表彰する。
(2)第二禅/対象を表象せず、心が統一される。
(3)第三禅/禅定の喜びを捨て、冷静に住する。
(4)第四禅/以上の三段階を乗り越えて、念が清浄である。
*さらに、無限の虚空を観ずる空無辺処定、識を広大無辺と観ずる識無辺処定、識という思いを捨てる無処有処定、有想も無想も捨てる非想非非想処定が説かれる。
●仏陀が教えた「行」/八正道(苦を滅する道)
◆正 見/思考に注意を払い、意味のあることのみを考え、自分の思考のなかで本質的なものと非本質的なもの、真理と単なる意見とを区別し、人の話を聞くときには思考と感情の中で賛意と批判とを絶つ行。
◆正思惟/どんなことにも根拠ある熟慮熟慮を経た上で決定し、思慮を欠いた行為、意味のない行為を避け、共感と反感から独立した判断を行なう行。
◆正 語/意味のあることのみを話し、言葉の一つ一つを思慮深くあらゆる角度から熟慮し、人の話しを静かに傾聴する行。
◆正 業/人を妨げることなく、いかにすれば全体の幸福、および永遠に適した行為をなしうるかを入念に考え、自分の行為が及ぼす作用を前もって徹底的に考える行。
◆正 命/自然と霊とにかなった生活を送り、外面的な些事にとらわれず、不安やあわただしさをもたらすものを避け、軽率なことをおこなわず、不精にならず、人生を高い目標にいたるための手段とみなして行動する。
◆正精進/自分の力でできることをなおざりにせず、日常と無常なものの彼方を見て人間の最高の義務を自分の理想とする。
◆正 念/人生から可能な限り多くを学び、何事からも有益な経験を得るようにし、かつての体験を振り返って決意、実行する。
◆正 定/一定の時刻に自分の内面を静観し、自己のなかに沈潜し、自己と語り合って、人生の原則を確認し、認識を思考の中に通過させ、自分の義務を考え人生の内容と目標を熟考し、本質的で不滅のものを見いだし、それにふさわしい目標を立てて、最高の目標に向かって努力する。
●インドのヨガにおける8つの修行の道の段階
◆禁戒(このなかでも特に大事なのが不殺生の戒)
◆勧戒
◆座法
◆調息
◆制感
◆凝念
◆禅定
◆三昧
*行法としては、調息=呼吸法が重要。
●キリスト教の修行の7つの段階
(以下の体験に没頭すると、アストラル体への強力な作用を通して、内的な知覚器官 が形成されてゆく)
◆洗 足 /上に立つ者は下にあるものなしでは存在できないことを知り、自分より下のものに対して感謝する。
◆鞭 刑 /人生の苦痛が襲ってきたとき、怯まず、人生の苦痛に立ち向かい、耐え忍ぶ。
◆茨の載冠/自分のもっとも神聖な霊的本質に侮辱、嘲笑が浴びせられたとき、その苦痛を嘆くことなく、まっすぐに立っている。
◆礫 刑 /自分の体を自分とは関係のないものと見なす。
◆神秘的死/自分は独立したものではなく、世界に属するものとして世界の中に埋葬されるのを体験する。
◆埋葬・復活/自分は地上にあるすべてと親しく、地上の素材から自分の体が成り立っていることを感じ、地球に埋葬されるのを体験する。
◆昇 天 /脳を使用せずに思考し、霊界に受け入れられるのを体験する。
*ヨハネ黙示録は、物質的認識、イマジネーション認識、インスピレーション認識、インテュイション認識のそれぞれを、「7つの協会への手紙」、「7つの封印」、7つのラッパ、7つの怒りの鉢として象徴的に描いている。
●瞑想行のはじめから最終段階まで常に行じる必要のある「5つの行」
(「いかにして超感覚的世界の認識を得るか」を参照してください)
◆思考の行/なにか単純なものを思考の対象に取り上げ、ほかの考えが入ってこないように思考を制御して、その対象について集中的に思考する。
◆意志の行/実生活にはほとんど意味を持たないような単純な行為を、毎日一定の時間に行う。
◆感情の行/快と不快、喜びと苦しみを平静に受けとめ、態度に表さない。
◆積極性の行/すべてのなかに優れた点を見いだす。
◆偏見を脱する行/新しい体験に対してとらわれぬ態度で接し、日常のあらゆる機会に新しいなにかを体験しようとする。
●参考/シュタイナーは、神智学協会ドイツ支部の秘教学院の指導を任されたとき、次のようなイギリス神智学協会の秘教学院の規則を踏襲した。
◆酒類を一切絶つこと
アルコールが脳(特に松果腺)を破壊する作用を有するから。
◆なるべく肉食を避けること
肉と魚を食べることは禁じられているわけではないが、肉食によって人間の低次の
本性との戦いが困難になる。
◆霊学(神秘学)の書物を研究すること
霊学(神秘学)の書物との研究というのは、読書の対象に選んだ霊学(神秘学)の書物を1日15分あら30分、1ページか2、3ページずつ読んでゆき、その部分の思考のプロセスを自分でたどってみるという形の読書法のこと。
◆朝、朝食をとる前に瞑想すること
瞑想の本質は、魂を平静にして、外界にまったく依存しない象徴的な表彰に精神を集中すること。像(イメージ)に精神を集中することによっても言葉(マントラ)に意識を集中されることによってでも、魂的・霊的世界のなかへ算入していくことができる。
◆夜、床に就く前に逆観を行うこと
逆観というのは、その日一日の生活を逆の順序で遡行的に表彰する行。映画の逆回しのフィルムを見るように、自分の1日の生活を数分間で逆方向に辿る。 *シュタイナーが紹介している瞑想行の代表的なものに、「薔薇十字の瞑想」がある。
●通常の認識を超えるものとして、イマジネーション認識、インスピレーション認識、インテュイション認識の3つがあり、霊視的認識であるイマジネーション認識を通して魂界、霊聴的認識であるインスピレーション認識を通して下位の霊界、霊の本質を内側から認識するインテュイション認識を通して、上位の霊界を認識できる。
◆日常生活において私たちは、私たちの外にある対象物を認識している。私という主観に対立する客体としての対象物を認識しているのである。この認識を越え出るところから、霊的な、感覚を超えた認識がはじまる。
◆霊的・超感覚的認識の第1段階/イマジネーション認識
外的な対象物表象を抱くことが可能になる。
対象物は表象像として内面化されたのである。
◆霊的・超感覚的認識の第2段階/インスピレーション認識
対象物も表象像もなしに、概念を直接把握する。霊的形姿の語る言葉を聞くことができるようになり、自分の前に現れた霊的存在がどのような存在なのかを知ることができるようになる。
◆霊的・超感覚的認識の第3段階/インテュイション認識
認識行為の主体である自我は認識の対象のなかに入り込み、対象の内面を認識する。 私たちの前に現れた霊的存在が何物であるかだけではなく、その存在の内面も認識されるのである。私たちの意識が私たちの前に現れた霊的存在とひとつになるのである。
●高次世界認識の各段階
上記の認識を得るプロセスまとめると以下のようになる。
(1)精神科学の研究。さしあたり物質的感覚的世界において身につけた判断力が使用される。
(2)イマジネーション認識の獲得
(3)秘文書の解読(インスピレーション認識に相当)
(4)霊的周辺世界への自己移入(インテュイション認識に相当)
(5)ミクロコスモスとマクロコスモスとの関連の認識
(6)マクロコスモスとの合一
(7)以上の項目を全部体験し直し、その体験を心底の根本感情とすること。