ルドルフ・シュタイナー

エソテリック講義の内容から
参加者の覚え書き
GA266

佐々木義之 訳

 


秘教講義 ケルン12-01-1906


 叡智の主や感情の調和の主が一人の教師を通して学徒とコミュニケートする最も重要な指針のひとつは、沈黙することを学びなさいそうすれば力が得られるだろう、力を諦めなさいそうすれば意志が得られるだろう、意志を諦めなさいそうすれば感情が得られるだろう、感情を諦めなさいそうすれば認識が得られるだろう、というものである。神秘学徒はそのすべての働きや行動に際して、これらの神秘的な命題を魂の前に置かなければならない。そうすれば、いつかはこれら四つの言葉が真実であることを経験するだろう。様々な力は順を追って達成することができるだけであり、決して最初に認識を、次に恐らく感情を、それから意志を、そして次に力を達成することは不可能である、ということを心に留めておかなければならない。何故なら、意志は力を諦めることから生じる、等々であるからである。前世紀の半ばに生きた非常に裕福なイギリス人ローレンス・オリファントの人生を例に取ってみよう。彼と彼の妻は彼らの貧しい隣人たちに対して高貴な愛情を持っており、この感情に動かされて、そのほとんどの財産を彼らに与えた後、ニューヨークに移住した。そこで彼らはハイファ近くのタボール山に行くのに十分なお金を得た。ここで不思議な現象が起こった。オリファントは、当時、聖書について書かれたものとしては最も不思議なものに属する創世記についての非常に興味深い、かつ不思議な本を書き始めたのである。しかし、彼がこれらの考えを持つことができたのは、ただ彼の妻の助けによってのみであった。彼女の死後、オリファントは少しの間だけ働き続けることができたが、その後は、彼の亡くなった妻のインスピレーションはもはや物理的な平面に届くことはなかった。したがって、これは先ほど述べた二番目の言葉の有効性を示す例である。
 私たちは地上において、いつでも私たちの周囲の世界の五つのエーテル的な流れに取り巻かれている。それらは地、水、火、空気、そして思考のエーテルと呼ばれる。これらのエーテル的な流れは人間の中でも活動している。地のエーテルは頭部から右足にかけて、水のエーテルはそこから左手にかけて、火のエーテルはそこから右手にかけて、空気のエーテルはそこから左足にかけて、そして、思考のエーテルはそこから頭部に戻るところで。これは神秘学者の聖なる星型五角形であり、人間の象徴である。その点が上に向けられているのは、精神が高みから人間に向けて流れていることを示す。星型五角形は自然の中の多くの花やその他の事物の中にも存在する。黒魔術の象徴はひとつの点が底にある星型五角形であり、魔術師たちは彼ら自身の利己的で邪悪な目的をもって魂や自然の力を使用するために、彼らの悪意を用いて地球からの悪い力をその点を通して引き出し、頂にある二本の角からそれらを周囲に送り出す。
五つのエーテル的な流れが交差するところと、色、味、そして体の各領域との結びつきとは次のようになものである。

   地のエーテル、角だけが明確な四角形、黄色、甘味、骨と筋肉

   水のエーテル、五日目の新月形、白色、甘酸っぱい(タルト)味、消化器官

  火のエーテル、正三角形、赤色、辛味、血液

  空気のエーテル、円形、緑色、酸味、神経

  思考(アーカーシャ)のエーテル、二つの交差する渦巻き形、暗青色、苦味、リンパ節