「四次元」

数学と現実

多次元空間に関する講義の聴講ノートと数学のテーマについての質疑応答

GA324a

Rudolf Steiner:Die Vierte Dimension 

佐々木義之訳

 

第二部

質疑応答 1904-1922


ベルリン 1913年11月27日

■質問:死と再生の間にある人間は体に受肉している人間と同様の時間感覚を有しているのですか? 

 このテーマについては、1914年3月19日に行われる予定の死と再生の間にある人間についての講義において、より詳細な情報が与えられることになるでしょう。今日のところは、死後の生活とは、感覚で知覚可能な物理世界の関係性を離れ、空間と時間に関する全く異なる関係性のなかに入っていくことである、ということだけを述べておきたいと思います。相対性理論によって、私たちは時間についての異なる概念を発達させ始めています。私たちは運動方程式の因数から精神的な世界への移行を果たすことができるのですが、それは私たちがそれらの因数をc=s/tの形で用いるときだけです。何故なら、sとtは、ご存じのように、感覚で知覚可能な世界に属しているのに対して、c(あるいは速度のv)が属しているのは、無機的な物体に関してさえ、実際には内的な経験の領域だからです。このように、私たちが精神的な世界における時間を理解したいのであれば、私たちはまず問題となる存在が持っている速度の量について語らなければなりません。そうすれば、比較を通して、部外者としての私たちが一時的な関係性について何らかのことを決定することが可能になります。例えば、その種の比較を通して、カマロカの生活においては、時間は三倍のスピードで経過する、ということが見いだされます。そのような探求によって、精神的な世界における時間と感覚生活における時間との関係に関する印象が与えられます。精神的な世界においては、異なる時間原則が支配しています。感覚で知覚可能な世界の原則と比較すると、これらの原則は内面化され、変化することができます。私たちがそこで経験する時間は、内的な発達過程に依存しているために、明確で数学的な言葉によって物理的な世界における時間の長さと比較することはできないのです。

(了) 


 ■シュタイナー「四次元」トップへ

 ■シュタイナー研究室へ

 ■トップページへ