「四次元」

数学と現実

多次元空間に関する講義の聴講ノートと数学のテーマについての質疑応答

GA324a

Rudolf Steiner:Die Vierte Dimension 

佐々木義之訳

 

第二部

質疑応答 1904-1922


デュッセルドルフ 1909年4月21日

■質問:私たちは精神的なヒエラルキア存在が支配する「領域」について語るわけですから、三次元性の概念は彼らにも適用できるのでしょうか? 

 人間の本質は空間のなかで実現される、と言うことができます。けれども、秘教的な観点から言えば、空間そのものは創造的な活動の結果として造り出されたものとして見なければなりません。その創造は最高次のヒエラルキア存在たちの働きや活動に先立つものですから、私たちは空間の存在を前提とすることができます。しかしながら、最も高次の三位一体を空間的な意味で想像するべきではありません。何故なら、空間はその三位一体によって創造されたものだからです。空間は創造されたものですから、精神的な存在たちは空間をもたないものとして想像されなければなりません。とはいえ、私たちの世界の内部におけるヒエラルキア存在たちの影響には、人間による影響と同様、空間的な限界があります。それ以外のヒエラルキア存在たちは空間の中を動きます。

  

■質問:時間は精神的なプロセスに適用されるのでしょうか?

 もちろんです。ただ、人間存在における最高次の精神的プロセスは、時間なしにその経過を辿る、という概念に導きます。ヒエラルキア存在たちの活動には時間がありません。時間がどのようにして生じたかについて語るのは困難です。何故なら、時間という概念は、その言葉に、「生じる」ということが必然的に含まれているからです。時間についてではなく、私たちは時間の本質あるいはその存在について語るべきかもしれませんが、それを議論するのは容易なことではありません。もし、すべての存在が同じ発達のレベルにあったとすれば、時間は存在していなかったでしょう。時間は、多くのより高次の存在たちと、多くのより低次の存在たちとの間の相互作用を通して生じます。様々のレベルの発達は時間なしでも可能ですが、それらの相互作用が時間を可能にしているのです。

 

■質問:空間とは何でしょうか? 

 私たちが三位一体について想像するときには、空間をもたないものとして想像しなければなりません。何故なら、空間は三位一体が創造したものだからです。いわゆる空間は、ひとつの創造であり、私たちの世界に属するものです。空間は、地上的な存在性のなかで発達する存在たちにとってのみ意義があります。誕生から死までの人間は、虫が地面の下で生きているのと同様に、空間と時間のなかにおいて精神から切り離されています。時間に関して言えば、人間が近づくことができる最も高次の状態は時間のない状態です。内密なことがらが役割を演じることになるために、時間が存在するようになるという概念、あるいは時間の本質や存在について語るのは容易ではありません。時間が意味を持つようになったのは、古い月が太陽から分離してからに過ぎません。あらゆる外的なものは空間のなかに存在し、あらゆる内的なものは時間のなかで経過します。私たちは空間と時間の両方に取り囲まれているのです。

  宇宙のすべての存在が同じ発達レベルにあったとしたら、時間は存在していなかったでしょう。時間が存在しない、という状態のなかでは、私たちは等しい進化のレベルについて想像することができます。これらのレベルに差が生じ始め、それらが相互作用を始めるとき、時間の概念が現れます。神性でさえ進化します。進化が継続するとき、進化の概念自体も進化するのです。

 

(了) 


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