「四次元」

数学と現実

多次元空間に関する講義の聴講ノートと数学のテーマについての質疑応答

GA324a

Rudolf Steiner:Die Vierte Dimension 

佐々木義之訳

 

第二部

質疑応答 1904-1922


デュッセルドルフ 1909年4月22日

■質問:(記録が残っていない) 

 私たちは三次元空間を視覚化することができます。プラトンの学院における重要な定理は「神は幾何学する」というものです。幾何学の基本概念は超感覚的な能力を目覚めさせます。位置幾何学(原注:合成的投影幾何学の旧名)は、円周上の点はどこでも同じである−右に向かって無限に遠い点は左にある出発点と同じである−ということを証明します。したがって、結局のところ、宇宙は球であり、私たちは出発点に戻ってくることになります。私が幾何学的な定理を用いるときには、それらはいつも通常の概念性の境界にある概念(原注:普遍的な投影定理の測定にかかる境界事例)へと転換します。ここでの三次元空間は私たちを私たちの出発点に連れ戻します。それは、アストラル空間においては、点Aが点Bとの間にいかなる結びつきをも持つことなく、それに働きかけることができる理由です。

(原注:投影された直線sの2点A、Bはその直線をふたつの部分に分けます(図91)が、そのうちのひとつの部分は線sの遠方の点を含んでいます。投影幾何学においては、両方の部分が点Aと点Bをつないでいると考えられます。一方、ユークリッド幾何学においては、直線gの遠方の点を含んでいない部分だけがAとBをつなぐものとして考えられます。)

 私たちが神智学のなかに唯物主義を持ち込むのは、精神に向かって進めば物質はますます希薄になる、と仮定する間違いを犯すときです。この種の考え方は精神には導きません。そうではなく、点Aと点Bとの間の結びつきについての考えが私たちに四次元を視覚化する可能性を与えるのです。ひとつの例として、私たちは虫こぶスズメバチ(原注:塚スズメバチの聞き間違いと考えられる)のくびれた腰部について考えることができます(図63)。中間部分の物理的な結びつきがなく、ふたつの部分が、アストラル的な活動によってのみ結びつけられ、ともに動き回るとしたらどうでしょうか?

 今、この概念を、より高次元の空間における多くの活動領域に拡張してみてください。

(了) 


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